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ザイムパートナーズは、派遣業に特化した社会保険労務士・税理士事務所です。


キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、非正規雇用の者を正規雇用(正社員等)に昇格させた場合に、会社がもらえる助成金です。派遣スタッフは有期雇用契約を結んでいる者が多く、いわゆる非正規雇用に該当するケースが多いため、この助成金の対象となることが多いです。非正規雇用者の採用から実際の助成金受給までには1年半ほどの時間を要しますが、年間15名まで対象となることもあり、1人あたり助成金額×15名の受給額は無視できません。

助成金の受給額をケース別にまとめてみました。派遣スタッフを対象としているケースは緑文字で記しています。

No 当初採用時 転換後 助成金額(1人あたり)
有期契約社員 正社員 60万円
有期契約社員 無期契約社員 30万円(※)
無期契約社員 正社員 30万円
派遣元で有期契約の派遣スタッフ 派遣先で正社員 90万円☆
派遣元で無期契約の派遣スタッフ 派遣先で正社員 60万円☆
派遣元で有期契約の派遣スタッフ 派遣先で無期契約 30万円(※)☆
派遣元で正社員扱いの派遣スタッフ 派遣先で正社員 助成金対象となりません。
派遣元で有期契約の派遣スタッフ 派遣元で正社員の派遣スタッフ 30万円(※)★
派遣元で無期契約の派遣スタッフ 派遣元で正社員の派遣スタッフ 助成金対象となりません。
派遣元で有期契約の派遣スタッフ 派遣元で正社員の内勤スタッフ 60万円★
派遣元で無期契約の派遣スタッフ 派遣元で正社員の内勤スタッフ 30万円★
派遣元で有期契約の派遣スタッフ 派遣元で無期契約の内勤スタッフ 30万円(※)★

(※)基本給5%以上の昇給が必須となります。

★は、派遣元会社で助成金を受給することになります。☆は、派遣先会社が受給となります。

助成金対象となる正社員の定義では、派遣社員を対象外としています。

(派遣元の)正社員だけど派遣スタッフである限りは、キャリアアップ助成金の判断においては正社員に該当しません(ややこしいですね・・・)

厚生労働省は、派遣スタッフそのものを不安定な雇用形態と考えているのだと思われます。そのため⑧のケースでは、正社員に転換したとしても派遣スタッフである以上は、『有期契約→無期契約』への転換と同じ取扱いに留めているわけです(あくまでキャリアアップ助成金における取扱いです。)

派遣先で注意すること

☆のケースに該当すれば、派遣先でキャリアアップ助成金(正社員化コース)は受給できるのが通常ですが、1点注意してほしいことがあります。

それは、いわゆる『労働契約申込み みなし制度』により派遣先が採用したケースでは、この助成金の受給はできません。みなし制度は、派遣先が違法派遣を受け入れたことによる罰則規定ですので、助成金が受給できてしまうと罰則が軽減されることになるため対象外となる。と考えると分かりやすいでしょう。みなし制度の詳細は、ここでは割愛しますが、気になる方はこちら(労働契約申し込み みなし制度について条文を読み込もう)をご覧ください。

派遣元が勘違いしやすいキャリアアップ助成金(人材育成コース)

キャリアアップ助成金には、正社員化コース以外にも人材育成コースというメニューがあります。非正規雇用の者の正社員化を目指して教育する場合に、その教育費用の一部を補てんする助成金です。

派遣元会社では、派遣スタッフへの教育訓練が義務化されたことにより、eラーニングや外部講師による研修を会社負担で実施していることも多く、また訓練中でも給与を支給しないといけません。これらの費用を補てんするために、キャリアアップ助成金が使えませんか?というご質問をいただくことがありますが、結論としては入職時を含めて毎年義務付けられている8時間分の訓練は対象外となります。

もちろん、8時間を超える訓練カリキュラムを組めば、8時間を超える分は対象にはなりますが、OFFーJT(外部研修)でも1コース当たり20時間以上の訓練が必要となることや、派遣スタッフが自署で訓練日誌を作成することが求められるので、実務的には難しいと言わざるを得ません。派遣先での仕事をせずに訓練させて給与も支払うのでは、派遣元会社としては相当のコストがかかりますし、この助成金で訓練中の給与が補てんされても時間当たり800円であり、最低賃金すら保証されません(愛知県では最低賃金は2016年7月31日現在で820円)

派遣元会社の立場からすると、教育訓練は有給でやらなければならないし、助成金はもらえない。ツラいところではあります・・・。