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昭61.6.6 基発三三三号を確認

派遣スタッフの有給休暇の時季変更権については、下記の通達があります。ちなみに基発とは、厚生労働省労働基局長名での通達(局長による通達)のことです。

(昭和61.6.6 基発333号)

派遣中の労働者の年次有給休暇について、労働基準法第39条の事業の正常な運営が妨げられるかどうかの判断は、派遣元の事業についてなされる。派遣中の労働者が派遣先の事業の正常な運営を妨げる場合であっても、派遣元の事業との関係においては事業の正常な運営を妨げる場合に当たらない場合もありうるので、代替労働者の派遣の可能性も含めて派遣元の事業の正常な運営を妨げるかどうかを判断することとなること。

『事業』の正常な運営が妨げられる場合は、会社は時季変更権を行使することができますが、派遣スタッフの場合は、『派遣元の事業』について判断することになります。そしてポイントとなるのは代替労働者の手当ができるかどうかという点がポイントとなります。

 

つまり、何日前なら代替労働者が手当できるのか?という点が肝となり、派遣スタッフ向けの就業規則において有給休暇の規定を定める場合にもその何日前を想定した日数を記載しておくべです。上記の基発を意識した文言を盛り込むと、例えば下記のような記載を就業規則にしておくことになります。書面で届けるというのも、派遣元会社にとって不意の休暇をけん制できるポイントとなるでしょう。また、長期休暇(1週間以上など)を想定した文言も入れておきましょう。

第●条(年次有給休暇の取得手続)

派遣従業員(以下 従業員)が年次有給休暇を取得するときは、代替要員等の対応の必要性から、原則として1週間前までに、会社に書面にて届け出なければならない。

2 従業員が年次有給休暇を取得し、休日を含めて1週間以上勤務から離れるときは、原則として1か月前までに、遅くとも2週間前までに所定の手続により、会社に届け出なければならない。

3 年次有給休暇は本人の届出による時季に与えるものとする。ただし、その時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に変更することがある。

4 突発的な傷病その他やむを得ない事由により欠勤した場合で、あらかじめ届け出ることが困難であったと会社が承認した場合には、事後の速やかな届出により当該欠勤を年次有給休暇に振り替えることができる。ただし、当該承認は会社又は所属長の裁量に属するものとし、必ず行われるものではない。

判例による有給休暇の事前申請期限の目安も知っておこう

参考になる判例として、電電公社此花電話局事件(昭和53年1月31日大阪高裁判決)があります。2日前(前々日)までに申請されない有給休暇については認めないという会社側の扱いが認められたケースです。時季変更権を行使した具体例として知っておくと良いでしょう。年次有給休暇の時季指定を原則として前々日までとする就業規則の定めは、時季変更権の行使についての判断の時間的余裕を与え、代替要員の確保を容易にし、時季変更権の行使をなるべく不要ならしめようとする配慮から出たものであり、合理的なものとして有効であると判断されています。ただし、あくまで会社ごとの業種・実情は違いますし、この判例が全ての場面において有効と言えないことは、頭の片隅に置いておきましょう。

いずれにしても、有給休暇が初めて付与される前には、時季変更権の必要性(あなたが休む代わりに、頑張って働いてくれる人を無理なく手配できて、あなたが気持ちよく休めるようにするため)を伝えておくことを忘れないようにしましょう。規定に書いてあるから~という説明でなく、派遣スタッフが受け入れやすい理由を伝える努力も必要だと思われます。