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減給の制裁

労働基準法第91条

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

わずか89文字の条文ですが、少し掘り下げてみましょう。先ず制裁をする場合には就業規則に記載がないといけません。つまり、経営者の気分・裁量で一方的に給与をカットすることはできないわけです。減給する場合には、減給される事由(無断欠勤・遅刻など)を就業規則に明記する必要があります。ただし、遅刻・無断欠勤した場合に、その時間に相当する賃金を支払わないことは91条に定める減給の制裁ではありません。

労働基準法は、基本的にノーワークノーペイの考え方があります。働かなければ給与は払わないという当たり前の理屈ですが、有給休暇を除いて、働いていない時間の賃金を保証する義務はありません。ただし、実際の欠勤時間分の給与を超える減額をした場合には、その超えた金額は91条に定める減給となります。

そして1回の減給額は、平均賃金の50%以下である必要があります。例えば、平均賃金の1日当たりの金額が1万円(月給30万円)であれば、その50%の5千円が1回の減給の限度額になります。欠勤が1ヶ月(一賃金支払期)に5回あれば2万5千円の減給制裁ができることになります。

ただし、減給の総額は一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならないため、30万円×10分の1=3万円が頭打ちになり、欠勤を5回しても給与としては、30万円ー3万円=27万円は保証されることになります。(もちろん、前述したとおり実際の5日欠勤分の給与を支払わないことはできます。この場合だと1日あたり給与を1万円とすれば、30万円ー1万円×5日=25万円から2万5千円を差し引いた22万5千円が実支給額となります)

なお、1日に2つの減額事由(例えば、遅刻と私用外出が同日にあった場合)に該当する行為があれば、その2つの行為についてそれぞれ平均賃金の1日分の半額ずつ減給することができます。 平均賃金1万円×2回の減給制裁自由=2万円。頭打ちの3万円以下なので2万円の減給制裁はOKということになります。

制裁不足額の繰越

そして、ここが勘違いしやすいポイントですが、あくまで一賃金支払期において10分の1を超えてはいけないだけなので、次の月に、その超えた額を差し引くことは可能です。つまり賃金の9割は保証するけど、制裁の金額そのものが消滅するわけではないわけです。上記の例でいえば、最初の月で2万5千円、そして翌月にも2万円5千円を減給することが可能です。ただし、繰越額があまりにも多いときに退職してしまった場合に、繰越額の残額を全額精算することはできません。あくまで、その月に差し引ける額は、賃金の10分の1が限界となるわけです。ちなみに、一賃金支払期に支払われるべき賃金が欠勤や遅刻の分(仕事をしていない時間について)減額されたときには、その減額後の賃金総額を基礎として10分の1を計算しますので注意が必要です。