アイコンプレゼン

ザイムパートナーズは、派遣業に特化した社会保険労務士・税理士事務所です。


一般的な年棒制のイメージ

中小企業において、年棒制という言葉を聞くと、通常は下記の運用がなされていることが多いです。

①年間の給与・賞与の合計額を●百万円と固定する。

②どれだけ残業しても、残業代は発生しない。なぜなら残業代も込みで年棒を決めているから。

③あとは、年間の合計額を12で割って、賞与なしの完全月給制とするか、ボーナス分を差し引いた額を12か月で除して、月給とするかのいずれかを選択する。

たった、これだけのシンプルな取り決めで、特に時間管理(残業時間の把握)をされることなく勤務し、毎月定額の給与をもらう。これが中小企業を経営する側の認識であることが多いです。ただし、労働基準法では年棒制という概念はありません。労働基準法では、勤務時間が法定労働時間を超えた場合には、残業代(割増賃金)を支払うというシンプルな法律体系となっており、勤務時間そのものについて変形労働時間制を採用することはあっても、法定の時間を超えた場合に割増賃金を支給しなくとも良いという記載はないわけです。

年棒制についての判例で確認

下記の有名な判例で、上記のような割増賃金なしの年棒制は、はっきりと否定されています。

(判例より抜粋)

平成13(ワ)5964 裁判年月日 平成14年5月17日 裁判所名;大阪地方裁判所

年俸制を採用することによって,直ちに時間外割増賃金等を当然支払わなくともよいということにはならないし、そもそも使用者と労働者との間に、基本給に時間外割増賃金等を含むとの合意があり,使用者が本来の基本給部分と時間外割増賃金等とを特に区別することなくこれらを一体として支払っていても、労働基準法37条の趣旨は,割増賃金の支払を確実に使用者に支払わせることによって超過労働を制限することにあるから、基本給に含まれる割増賃金部分が結果において法定の額を下回らない場合においては,これを同法に違反するとまでいうことはできないが、割増賃金部分が法定の額を下回っているか否かが具体的に後から計算によって確認できないような方法による賃金の支払方法は、同法同条に違反するものとして,無効と解するのが相当である。

ポイントとして、「基本給に時間外割増賃金等を含むとの合意があり,使用者が本来の基本給部分と時間外割増賃金等とを特に区別することなくこれらを一体として支払って」という文言がありますが、要は残業代を含む、いわゆる固定残業代制度を導入していれば問題は起きなかったわけです。もちろん、固定残業代には○時間分、○時間に相応する残業代以上の金額が含まれていることが必須です。てきとうに決めて良いわけではないので誤解なきようにお願いします。

固定残業代については、こちらが参考になります。→定額残業代を設定する場合は、計算方法を正しく認識する