二社以上の役員を兼ねる場合の社会保険の適用について
従業員の社会保険の加入要件は、労働日数・労働時間ともに「正社員の概ね3/4以上」の基準があり、仮に兼業していたとしても、それぞれの会社で社会保険の加入要件を満たすことは稀なため、「二以上勤務者」には滅多に該当しません。
これに対し、役員の被保険者資格の考え方については、「昭和24年7月28日保発74号」を補う行政内部(日本年金機構)の運用解釈によれば、以下の6つの要素から総合的に勘案し、判断することとされています。
①定期的な出勤の有無
②役員会の出席の有無
③従業員に対する指示・監督の状況
④役員との連絡調整の状況
⑤法人に対してどの程度の意見をのべ、影響を与える立場にあるのか
⑥法人からの報酬の支払の実態
(社会通念上相当とされる程度の実費弁償的(経費補填的)なものだけか)
メインで勤務する会社以外でも①~⑥を概ね満たすようであれば、常勤性が高い役員(社会保険に加入する必要がある役員)だと判断され、メインではない会社でも社会保険料の負担をすることになります。
反対に、6つの要件を満たさない場合は、常勤性が低い(社会保険の加入が必ずしも必要でない)と判断されます。
★複数の会社で代表取締役を兼ねている場合は、「二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。
代表取締役は、上記6つの要件を満たす立場にあるため、常勤性が高いと判断されます。したがって、複数の会社の代表取締役を兼ねている場合は、すべての会社の報酬を合算し、保険料を納めることになります。
「被保険者所属選択届・二以上事業所勤務届」の手続き方法は、「複数の会社から収入がある場合の社会保険の適用について」をご覧ください。