これができると期待して入社させたのに、実際には能力が足りなかったケースへの対処法
能力不足の社員を採用しないに越したことは無いのですが、100%防ぐことは難しいです。しかも、能力不足の社員は、勤怠不良でもなく真面目なタイプが多いのも事実です。無遅刻・無欠勤で人柄も良いのだが、生産性が劣る。このようなタイプが能力不足の社員の典型です。ここでは、困ったときの対処法と予防法をご紹介します。
1.社員と一緒に問題を解決する
能力不足の社員を放置することは危険です。同じ量の仕事をこなしていても、Aさんはいつも定時で仕事が終わるが、Bさんはいつも残業している。残業が多いBさんは、残業代が増えるため、結果的に毎月の給与が多くなってしまうという矛盾が生じてしまいます。これでは、効率よく仕事をこなしているAさんは面白く無いでしょう。この不公平感を解消させるために、つぎの策を講じることをオススメします。
□ 問題点の洗い出し(どの作業の、どの部分で問題が生じているかを明確にする)
□ 明確な指示(指示をキチンと理解していない可能性もあるので、できる限り噛み砕いて話す)
□ 一つ一つの業務に期限を設け、タスクを管理する
□ 自分の持っているノウハウを言語化し、積極的に伝える(短期間で成長が期待できる)
□ 社員への期待をキチンと伝える(自分の役割を認識し、モチベーション向上に繋がる)
それでも効果が期待できなければ、職務を軽減または降格してそれなりの待遇に引き下げるか、退職勧奨または解雇等で退職させた方が良いでしょう。
2.能力を見極めるために、有期労働契約をうまく活用する
とはいえ、能力不足な社員であっても解雇することは非常に困難です。試用期間中でも、能力不足のみを理由とした解雇は、認められないことがほとんどです。そこで、試用期間中の契約を有期労働契約にし、期間満了時に会社が能力不足と判断したら、雇用契約を終了できる制度にすることをオススメします。就業規則に下記の条文を入れておくとよいでしょう。
(労働契約の期間)
試用期間中は、一の独立した有期労働契約として、最大3ヶ月間の有期労働契約期間(以下「試行雇用期間」という。)を設けることができる。
2 前項の試行雇用期間とは、その職務の適性があるかどうかを判断するために、本採用に先立ち締結する有期労働契約の期間とする。
3 前項の有期労働契約は、更新しないものとし、適性が認められる者のみ本採用し、それ以外の者については、雇用を終了する。
3.能力不足・不適格者を採用しないために
例えば大企業での管理職経験者が、中小企業で上手く機能するとは限りません。なぜなら、中小企業では指示するヒトよりも、実際に自ら動けるヒトが重要だからです。また、管理職の肩書があっても、実際は残業代削減のための名ばかり管理職だった。実務経験が長くても単なるぶら下がり社員だった場合もあるようです。経歴は参考程度に留めておき、これから一緒に働けるヒトか、動機や人間的資質が自社に合っているヒトなのかを見極めることが大事です。また、面接中に少しでも 違和感を覚えたら採用を見送ることも必要です。第一印象や直感は大抵当たっていることが多いです。