就業規則と個別の労働契約の内容が異なる場合の取り扱い
就業規則に定めた労働条件と、会社と社員が個別に交わした労働条件が異なる場合は、果たしてどちらを優先すれば良いのでしょうか?
就業規則に定めた労働条件 > 個別の労働条件 の場合(就業規則の方が好待遇のケース)
この場合は、就業規則に定めた労働条件が適用されます。就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とされます。無効とされた部分は、就業規則の定める基準に拠ることとなります。就業規則より低い労働条件は適用できないわけです。これは労働契約法12条に下記の記載があるためです。
(就業規則違反の労働契約)
第十二条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
就業規則に定めた労働条件 < 個別の労働条件 の場合(個別の労働条件の方が好待遇のケース)
この場合は、個別の労働条件に拠ることになります。就業規則の定める労働条件を下回った契約は無効ですが、上回る場合は、労働者にとって有利な運用となるため、法はどの条件を停止することはありません。ただし、就業規則に定めた労働条件が労働基準法を下回る場合は別で、労働基準法に定められいる法定水準>個別の労働条件となる場合は、法定水準の待遇まで引き上げられます。労働基準法で下記の定めがあるためです。
法令及び労働協約との関係)
第九十二条 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
(2) 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。
社員に対して、不利益変更をする場合でも、労働基準法および就業規則を下回る待遇への変更はできないのでご注意ください。会社と社員との個別の同意書があったとしても無効になるわけです。
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