組織単位(個人単位)の抵触日の注意点
組織単位(個人単位)の抵触日は派遣先に通知が必要?
※60歳未満かつ有期契約の派遣スタッフ限定記事です。
事業所単位の抵触日は、労働者派遣契約を締結する前に派遣先が派遣元に抵触日を通知することが義務付けられていますが、組織単位(個人単位)の抵触日の通知は義務付けられていません(但し、派遣スタッフに交付する就業条件明示書には、抵触日の記載が必要です。)。そもそも、組織単位(個人単位)の抵触日は、派遣先・派遣元どちらが管理すべきなのでしょうか?
答えは、派遣先と派遣元両方管理が必要です。一般的には、平成27年9月30日以降に締結した派遣契約により、同一の派遣先に同一の派遣スタッフを派遣した日から3年後が抵触日となりますが、ここでいう同一の派遣スタッフとは、派遣元の会社が異なる場合であっても、同一の派遣スタッフであると評価されてしまうことです。つまり、派遣会社が変わっても、3ヶ月間のクーリング期間が無い限り、同一の組織単位での派遣受入期間が通算されるということです。
派遣スタッフが時給などの待遇面等により所属している派遣会社を変えることはよくある話です。また、派遣先が製造業などで複数の派遣会社と派遣契約を締結している場合、同じスタッフが以前と同一の派遣先に派遣される可能性は大です。その場合、派遣先が組織単位(個人単位)の抵触日をしっかり管理していないと、抵触日違反となり労働契約申込みみなし制度の対象となってしまいますし、派遣元もまた、雇用安定措置を講じなければなりません。
組織単位(個人単位)の抵触日の管理方法は?
それでは、どのように管理すべきでしょうか?実務的には、派遣先は、派遣個別契約書に添付する「派遣先通知書」から情報を得て「派遣先管理台帳」を作成し、個別に管理するしかありません。派遣契約が終わったからといって、管理台帳を過去ファイル等に保存してしまうと埋もれてしまう可能性があるため、派遣受入終了から3ヶ月間(クーリング期間)は、過去ファイルに保存しない方がよいでしょう。また、派遣元は派遣スタッフとの面談時に、直近3ヶ月以内に同じ派遣先で勤務していたか確認することが必要です。
しかしながら、上記の管理方法では、派遣先・派遣元ともに管理が煩雑ですし、抵触日についても互いが別個に管理することにより情報が錯綜し、トラブルになる可能性もあります。
したがって、派遣個別契約を締結する際に、組織単位(個人単位)の抵触日を両者で確認し、情報を共有しておくことが一番の解決策になるでしょう。