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派遣会社とM&A~その1

投稿日: 2016-07-31 |
最終更新日: 2018-01-25 |

派遣法改正

派遣業界ではM&Aが加速する?

平成27年年9月30日の派遣法改正より早や11カ月。平成28年6月の新様式の事業報告書提出時期には、弊社にも問い合わせが非常に多かったです。改正により派遣元会社がやるべきことが膨大に増えたことに、ようやく気付いたという派遣元会社さんも多かったことだと思います。

そのなかで、どうやって継続していこうかと悩まされる方(旧 特定労働者派遣事業者)も増えています。基準資産を満たすのは難しく、教育訓練の義務化も負担となり、かつそのコストを吸収しようと派遣先会社に値上げをしたくとも切り出しにくい・・・という方も多いでしょう。(最終的には利益を出すしか解決方法はないので、適切なマージン率で単価設定することは必須ではあります。)

自社単独で基準資産を満たすことが難しく、一般派遣業への移行ができない特定労働者派遣事業者が考える選択は、次の5つです。

①廃業

②請負業への転換

③第3者資本の受け入れにより基準資産を満たして、一般派遣業となる

④会社売却(派遣業ではない会社への合併を含む)

⑤他の派遣元会社との合併により基準資産を満たして、一般派遣業となる

①②については、派遣業として継続しない選択ですので今回は割愛しますが、③④⑤は現実的には増えてくると思います。

派遣業許可を得ている会社を吸収合併した場合

ここで、よくいただく質問が、④の派遣業許可を得ていない会社(存続会社)が、派遣業許可を得ている会社(消滅会社)を吸収合併したら、派遣業は存続会社で続けられるのか?ということです。派遣業を始めたいけど新規に許可を取るのはハードルは高いので、既に許可を持っている会社を吸収すれば解決できるのではということです。

結論としては、消滅会社での許可は、存続会社に引き継げません。つまり派遣業の営業はできないことになり、存続会社で新たに派遣業の許可申請をすることになります。

労働者派遣事業関係業務取扱要領にも、下記の記載があります(平成28年7月26日付の要領の記載です)

(P97より抜粋)

許可証の交付を受けた者が次のいずれかに該当することとなったときは、それぞれに掲げる者は当該事実のあった日の翌日から起算して 10 日以内に許可証を事業主管轄労働局を経て厚生労働大臣に返納しなければならない(則第4条第2項、則第 19 条)。
① 死亡した場合にあっては、同居の親族又は法定代理人
法人が合併により消滅した場合にあっては、合併後存続し、又は合併により設立された法人の代表者

イ 吸収合併の場合の取扱い(P100より抜粋)
(イ)合併前に存続法人が許可を受けておらず、かつ、消滅法人が許可を受けている場合であって、合併後に存続法人が労働者派遣事業を行うときは、新規許可申請が必要となる。

ただし、労働者派遣事業の許可の期間に空白があると、事業ができなくなり、派遣スタッフの雇用が不安定となることから、許可申請に当たっては、合併を議決した株主総会議事録等(合併契約書でも良いと思われます)により合併が確実に行われることを確認することにより、合併の日付と同日付けで許可することが可能となるよう、存続法人において事前に許可申請を行わせることとする。とされています。

推測になりますが、合併前に余裕をもって労働局に相談をしておくことで、通常の新規許可申請よりは許可が降りるのが早くなることもあるよ。ということなのでしょうね。(そうでないと、この記載が無意味となるので。同じく労働者派遣事業関係業務取扱要領P100に記載されています。)

合併には、税務的な問題(適格合併でないと含み益に法人税が課される。欠損金がある場合に引き継げなくなることもある。株主にも課税が生ずることもある等)もあるので、安易にやってしまうと取り返しがつかないこともあります。気を付けたいところです。

派遣会社のM&Aについては、今後も掘り下げてアップしていきますね。

 

 

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