職業安定法改正に伴う事業者への影響 パートⅠ
平成30年1月1日より、職業安定法が改正されます。今回の改正の目的である「職業紹介事業等の機能強化、求人・募集情報の適正化」により、職業紹介事業者は、紹介実績等の情報提供などが義務付けられます。ここでは、ポイントを3つに分け、パートⅠからパートⅢで解説させていただきます。
職業紹介の実績等を情報提供する義務とは?
職業紹介の実績に関する次の①~⑦の情報提供を実施することが義務付けられます。
① 紹介により、各年度(各年の4月1日~翌年の3月31日)に就職した人数
② ①のうち、無期雇用契約者の人数
③ ②の無期雇用契約者のうち、就職から6ヶ月以内に解雇以外により離職した人数
④ ③のうち、離職理由が不明な者の人数
⑤ 手数料に関する事項(※手数料表掲載)
⑥ 返還金制度導入の有無(導入している場合はその内容)
⑦ その他、職業紹介事業者の選択に資すると考えられる情報【任意】
情報提供はどこで行えば良いの?自社のHP?
情報提供は、厚生労働省の運営する「人材サービス総合サイト」(http://www.jinzai-sougou.go.jp/)で公表することが義務付けられます。
派遣法に基づく情報提供のように、事業所への書類の備付け、インターネットの利用(自社のHP含む。)ではなく、情報提供場所が限定されています。
「人材サービス総合サイト」は、自社のHPがなくても、インターネットの接続環境があれば、データ入力が可能です。従来は、「人材サービス総合サイト」へ掲載申し込みをした日から公開まで、1ヶ月以上時間を要してましたが、今回の改正により、平成29年12月1日より、すぐに公開されるようになるようです。
掲載する情報のタイミングは?
最優先事項は、①平成28年度の就職者数、⑤手数料に関する事項と⑥返還金制度導入の有無を、平成30年1月1日までに、掲載することが必要です。情報は、平成29年12月1日から入力可能ですので、29年中に済ませておきましょう。
上記以外の項目については、経過措置が設けられています。
手数料表・返金制度の情報掲載時の注意点
届出制手数料を採用している事業者が「人材サービス総合サイト」に掲載する手数料は、厚生労働大臣に届け出た手数料表を表示する必要があります。ご存知のとおり、手数料表に記載された料率(金額)は、上限(最高料率・最高料金)が表示されています。
紹介会社以外の企業がこの手数料表を見た時、「なんて高いんだ!」と驚かれる可能性があります。そのようなことが無いように、次の文言を追記することをお勧めいたします。
また、返金制度についても、求職者の雇用形態により、返金制度の内容もバラつきがあると思われます。ある程度柔軟に対応したいので、次の文言を追記しておくと良いでしょう。
このように補足事項を追記しておくことで、印象が変わります。必要に応じて、ご登録下さい。
今回の改正により、職業紹介会社として機能している会社なのか(①就職者数)、紹介後の定着率の高低(③離職者数)、さらに、紹介後のサポート体制(④離職理由不明)などが一目瞭然となります。当然ですが、職業紹介会社として生き残るには、単に人を紹介するだけでは済まなくなっています。求職者と求人者のマッチング機能の向上、サービスの向上が喫緊の課題といえるでしょう。
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