外国人の不法就労による派遣許可取り消し
派遣法では、何をすると許可を取り消されるのかを記載列挙しています。取消されると、当然ですが派遣業務は完全にストップすることになります。ストップすると派遣スタッフは、他の派遣会社へ移ることになるのが常です。収入が完全に途絶えます。
2つの許可取消し事例をチェック
2017年12月19日厚生労働省より、2つの取消し事例が発表されました。取消し事由は、いわゆる不法就労です。出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項に違反し、罰金の刑に処せられ刑が確定したことにより取り消されています。
☑取消事例1(一般派遣業の取消し)
☑取消事例2(特定派遣業の事業廃止)
許可の取消しを受けると、取消しの日から起算して5年を経過しない限り許可を受けることはできません(派遣法第6条4号に記されています)。
さて、許可の取消しの規定は下記です(読みやすくするためにカッコ書きは割愛します)。派遣法そのものの規定に反することではないことでも取消されます。
一 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定その他労働に関する法律の規定であつて政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定により、若しくは刑法第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪、暴力行為等処罰に関する法律の罪若しくは出入国管理及び難民認定法第七十三条の二第一項の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
出入国管理及び難民認定法第七十三条の二第一項の罪とは、次のことです。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
第6条は許可を受けるときのものでしょ、許可後は関係ないのでは?というツッコミがありそうですが、派遣法14条に下記の記載があるため、許可後であっても6条に該当する事実があると許可を取消すことができます。いわゆる欠格事由というものです。
派遣法十四条 厚生労働大臣は、派遣元事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、第五条第一項の許可を取り消すことができる。
外国人派遣スタッフの多い派遣会社は、在留カードが有効かの確認を怠らない。
今回の2つの取消し事例は、刑の確定(罰金を払う)ことにより決定されたものです。派遣会社は、外国人スタッフを抱えることが多い業種でもあります。また、昨今の人手不足により仕事をしてくれるなら、誰でもOKと考えてしまう経営者も多いと思いますが、外国人スタッフを雇用するには一定のルールがあります。雇用する前に在留カードの原本の提示を受けることが必須です。就労制限がないかを在留カードで確認しましょう。
ちなみに、入国管理局ホームページでは、在留カードの番号の有効性が確認できます。在留カードの番号と有効期間を入力すれば、その番号が有効か有効でないかの確認ができます。偽造カードでないかどうかの確認もできるわけです。念には念をいれて、派遣業許可が取り消されることのないようにしましょう。繰り返しますが、取り消されたら5年間は許可を受けることができません。
ちなみに、日本国籍であることを公的な書類で確認する場合は、本籍を省略していない住民票を提出してもらうと確認できます。(もちろんパスポートでもOKです。)
下記のフローチャートを参考にしていただけると間違いも起きにくいと思われます。