局長通達と最低賃金
令和3年10月1日より、順次地域別最低賃金が改定されます。全国加重平均28円UPの報道に驚かれた方も多いと思われます。この最低賃金、局長通達にも深くかかわっています。労使協定方式を採用している派遣会社は、基準を下回っていないか、一度ご確認ください。
局長通達と最低賃金
昨年掲載した記事にもありますが、労使協定方式を採用している場合、局長通達の適用年度に関わらず、「実際に賃金が支払われる時点」で「職種別の賃金×能力・経験調整指数×地域指数」の金額が最低賃金を上回っている必要があります。(労使協定方式に関するQ&A )
昨年の最低賃金は、据え置き若しくは1円程度の増加であったため、さほど影響はありませんでしたが、今回は影響を受ける職種は多いと思われます。
今年度適用される『同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額(基本給及び賞与の関係)』を今一度確認し、下回っているようでしたら改定が必要です。
派遣先事業所と就業場所の都道府県が異なる場合は、さらに注意!
派遣先事業所と就業場所は、必ずしも一致しません。経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等が求められます。なお、出張所、支所等で、規模が小さく、その上部機関等との組織的関連ないし事務能力からみて一の事業所という程度の独立性がないものについては、直近上位の組織に包括して全体を一の事業所として取り扱います。(労働者派遣事業関係業務取扱要領」第7の5)
局長通達に定める地域指数は「派遣先事業所」を基準とするため、例えば派遣先の事業所が岐阜県にあるが、実際に就業する場所が愛知県である場合、地域指数は岐阜県を使うが、実際に就業する愛知県の最低賃金を下回っていたら、最低賃金法違反になってしまいます。
次の図は、事業場のある岐阜県の最低賃金880円を上回っているが・・・実際の就業場所が愛知県の場合、愛知県の最低賃金は955円のため、最低賃金を下回っています。
これが正解!
なお、固定残業代を含む月給制の場合は、固定残業代を除いた給与及び手当の時給換算額が、一般賃金及び最低賃金額以上であることが必要です。また、最低賃金の対象となる賃金には、皆勤手当や家族手当、通勤手当も最低賃金の基礎に含めることはできません。
時給換算する場合は、これらに注意して確認する必要があります。
一般賃金を変更する場合は労使協定の再締結と周知が必要です
労使協定に定める一般賃金の決定方法を変更する場合は、労使協定を再締結し、派遣以外の形態で就業する者を含めた全従業員に対し、周知が必要です。せっかく労使協定を改定しても、これらが抜けると無効になりますので、ご留意ください。