民法改正により派遣元責任者・職業紹介責任者の実質最低年齢が変わります
民法第4条改正により、成人年齢が20歳から18歳へ引き下げられました。それに伴い、派遣元責任者及び職業紹介責任者の選任基準も変わります。今回は、派遣元責任者と職業紹介責任者の選任要件について、ご案内致します。(重要なポイントとなる部分のみお伝えいたします。)
派遣元責任者の選任要件
派遣元責任者に関する主な選任要件は、以下のとおりです。
・未成年者(18歳未満)ではなく、派遣法に定める欠格事由に該当しないこと。
・派遣元責任者となり得る者の名義を借用していないこと。
・次のいずれかに該当する者であること
(「雇用管理経験」とは、人事又は労務の担当者(事業主・役員、支店長、工場長その他労基法に定める管理監督者)であったと評価できること、又は派遣事業における派遣労働者若しくは登録者等の労務の担当者であったことをいう)
②成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有すること。
③成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有すること。
④成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有すること。
・派遣元責任者講習を受講した者であること。(許可申請の受理日前3年以内の受講に限る)
・精神の機能の障害により派遣元責任者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者でないこと。
・外国人にあっては、原則として、入管法別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
・ 派遣元責任者が苦情処理等の場合に、日帰りで往復できる地域に労働者派遣を行うものであること。
職業紹介責任者の選任要件
職業紹介責任者に関する主な選任要件は、以下のとおりです。
・未成年者(18歳未満)ではなく、職安法に定める欠格事由に該当しないこと。
・職業紹介責任者となり得る者の名義を借用していないこと。
・次のいずれにも該当すること。
・風営適正化法に規定する風俗営業等不適当な営業の名義人又は実質的な営業を行う者でないこと。
・外国人にあっては、入管法別表一の一の表及び二の表並びに別表第二のいずれかの在留資格を有する者であること。
・住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
・不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
・公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
・虚偽の事実を告げ、若しくは不正な方法で許可申請を行った者又は許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと。
・国外にわたる職業紹介を行う場合にあっては、相手先国の労働市場の状況及び法制度について把握し、並びに求人者及び求職者と的確な意思の疎通を図るに足る能力を有する者であること。
・職業紹介責任者講習を修了した者であること。(許可の場合は申請の受理の日、許可の有効期間の更新の場合は許可の有効期間が満了する日の前5年以内の修了に限る)
・成年(18歳)に達した後3年以上の職業経験を有する者であること。
・精神の機能の障害により職業紹介責任者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者でないこと。
・職業紹介責任者が日帰りで苦情処理を行い得ること。(電話、メール又はウェブ面談等により、苦情対応に対する適正な体制確保が図れる場合についてはこの限りではない)
今回の民法第4条の改正で成人年齢が引き下げられたことにより、派遣法及び職安法で定める要件も連動して変わります。
派遣元責任者においては、「18歳に達した後3年以上の雇用管理経験等を有する者」
職業紹介責任者においては、「18歳に達した後3年以上の職業経験を有する者」
となり、18歳から上記に定める要件に合致した経験を有する方は、最低年齢が実質23歳から21歳に引き下げられることになりました。
特に、職業紹介責任者は3年以上の職業経験を有していればよく、派遣元責任者のように雇用管理経験等までは求められていませんので、責任者の配置が必須な人材紹介会社にとっては朗報と言えます。
また、18歳から人材紹介会社で職業紹介事業に従事された方であれば、21歳で職業紹介責任者だけでなく、派遣元責任者として登録することも可能となります。
その他、派遣元責任者・職業紹介責任者の要件を今一度確認し、現状の運用が適切に行われているか確認してみましょう。