派遣先から割増賃金分をもらえない場合
派遣単価は、派遣先と派遣元の双方で決める
派遣先企業と派遣元企業の間で、派遣する社員の派遣単価は決まります。この単価設定には労働基準法の縛りはありません。要するに企業間の自由協議になります。そのため、月間派遣時間が●●●時間を超えた場合には、派遣単価を2割5分増しにするなど、法定労働時間を超えていても、単価そのものは変わらないというケースもあります。その場合、派遣元は社員に、『派遣先から割増分をもらえないから、割増分は払えないよ』と言えるのでしょうか?
派遣社員に割増賃金を払う義務があるのは、あくまで派遣元企業
労働基準法第37条には、割増賃金を支払う義務を負うのは、あくまで雇用している会社であり、派遣先企業は派遣社員と雇用関係にないため、労基法上の割増義務は生じないことになります。よって、派遣先企業には労基法上の「割増」を行う必要はないことになります。割増賃金を払うのは、派遣先になるわけです。自社の社員ですから当たり前といえば当たり前ですが・・・。
派遣先からもらえなくとも、派遣元企業は社員に割増分を払う必要があります。それを踏まえた単価設定をしましょう。また、法定労働時間を超える場合の取り決めは必ずしておきましょう。事務系の派遣の場合は法定内の労働時間のケースが大半でしょうが、SE等の技術専門職の派遣の場合には残業も日常的にあり得るはずです。(派遣ではあるが、全体のプロジェクトの納期があるため、間に合わなければ残業が生じる)
派遣単価は適当に決めない。当たり前ですが、とても大切なことです。どの仕事も粗利益をきちんと取れなければ無意味ですし、法令違反をして捻出した粗利益はいつまでも続きません。
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