派遣会社の決算月を決めるときは、基準資産が増えやすい月がベスト
基準資産を増やすには、増資か利益を積み増すかしかありません。
派遣業の許可申請で頭を悩ますのが、基準資産の要件です。平成28年9月30日以降は、現預金1,500万円。基準資産2,000万円を満たせない会社は許可を得ることはできなくなりました。以前の記事『28年9月30日より、新規に派遣業許可を取るには、絶対に現預金1500万円と基準資産2000万円が必要になります』でも解説したとおり、下記の改正概要にも記されています。
小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置について、平成28年9月30日以降は、経過措置により現在、特定労働者派遣事業を行っている者に限定して適用すること と明記されました。9月29日までの許可申請を急ぐ会社も多いと思います。とはいえ、あくまで小規模派遣元事業主への配慮措置は10名以下の派遣スタッフで運営する会社に限定されたものであり、通常は現預金1,500万円&基準資産2,000万円を目指すことでしょう。
基準資産を積み増すには、増資か利益を増やすしかありませんが、許可申請で頭を悩ます会社の悩みは現預金ではなく、基準資産であることが圧倒的です。現預金は銀行融資で増やすことが可能ですが、利益は誰かから借りるわけにはいきません。増資ができるのであればベストですが、増資資金が潤沢でないケースも多いと思います。やはり、基準資産を増やす王道である、利益を増やす施策を実施なくてはいけません。
派遣会社に適した決算月を考えましょう。
決算月近辺で利益が出やすいか、それとも利益が出ないかは許認可申請をする上では、意識したいポイントです。決算月を考えるときは、節税を優先すると利益が出にくい月を選ぶのが常ですが、基準資産を増やすには、その逆で利益が出やすい月を決算月にした方が望ましいといえます。節税を最優先する、通常の税理士のアドバイスとは真逆になります。
派遣会社の収入構造を考えると、稼働日が多い月は派遣先からの収入も多くなりますが、稼働日が少ない月は収入が減ります。正社員を派遣するスタイルの派遣会社では人件費は固定費化するため、稼働日が少なくとも人件費はさほど下がらず、赤字になることもあります。賞与のある6月・12月や労働保険の申告もある7月は利益が出にくい月ではないでしょうか?特に12月・1月は稼働日も少なくなる傾向があるので決算月としては避けたいところです。
基準資産を瞬間的にでも増やすには、これらの『赤字になりやすい月』を決算月にするのは避けた方が良いでしょう。場合によっては決算月そのものを変更することも有効です。ぜひ、ご検討されると良いでしょう。
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