2016年9月30日より、新規に派遣業許可を取るには、絶対に現預金1500万円と基準資産2000万円が必要になります
労働者派遣事業の許可基準の改正案に関する意見募集について
平成28年6月14日付で、表題が厚生労働省HPに記載されています。28年7月13日までパブリックコメントを受け付けています。
日経新聞の記事にも7月3日に掲載されており、改正派遣法の施行後1年が経つ、2016年(平成28年)9月30日より新規に派遣業の許可を得るには、現預金が1,500万円ないと認めないという記事になっていますが、厚生労働省の『労働者派遣事業の許可基準の改正(案)』を見ると、現預金だけではなく、経過措置を認めず、基準資産も派遣業の許可基準そのままの一事業所あたり2,000万円を満たしていないと許可申請できないように読み取れます。
いわゆる小規模事業主への暫定的な配慮措置として認められていた下記は、(旧)特定労働者派遣事業者のみに認められることになり、完全新規で派遣業の許可を取る場合には、この配慮措置は使えなくなるようです。
1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が10人以下である中小企業事業主 | 当分の間、基準資産額1,000万円。現預金額800万円で許可申請できる。 |
1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が5人以下である中小企業事業主 | 平成30年9月29日までの間、基準資産額500万円。現預金額400万円で許可申請できる。 |
下記が、労働者派遣事業の許可基準の改正(案)に記載されていますので引用します。
○ 「資産要件」について、下線部分を新たに追加する。
資産要件
小規模派遣元事業主については資産要件を軽減(暫定的な配慮措置)。
ただし、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律(平成 27 年法律第 73 号)附則第6条第1項の規定により引き続き行うことができることとされた常時雇用される労働者のみである労働者派遣事業を行っている者からの申請に限る。
① 1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が 10 人以下である中小企業事業主(当分の間)
・基準資産額 1,000 万円
・現預金額 800 万円
② 1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が5人以下である中小企業事業主(施行後 3 年間)
・基準資産額 500 万円
・現預金額 400 万円
3.適用期日
平成 28 年9月 30 日
この改正が正式に成立すれば、新規に派遣会社を作ることは、相当ハードルが高くなります。既得権を持つ(旧)特定労働者派遣事業者以外は、基本的には会社設立段階で、現預金1,500万円。資本金(資本準備金含めて)2,000万円を満たさないといけないわけです。
派遣スタッフが10人以下の派遣会社を作る場合は、平成28年9月29日までに許可申請できるように急ぐ必要がでてきました。ご注意ください!
また、個人事業者で(旧)特定労働者派遣事業者である者は、法人成りをしようとする場合には、新設法人と同じ扱いになります。個人事業者としての許可は、法人に引き継げるものではありません。暫定的な配慮措置を使って許可を得たいのであれば、平成28年9月29日までに許可申請をする必要がでてきます。
もちろん、現時点では案であり、まだ正式に成立した扱いではありません。しかし、今後の動向が気になるところです。改めて、国としては小規模な事業者の許可を認めたくないという意向なのでしょうね・・・。
(追記)
その後、平成28年7月26日にアップされた労働者派遣事業関係業務取扱要領のP82において正式に、上記の改正内容が織り込まれて改正されています。下記です。
b 小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置
小規模派遣元事業主に係る財産的基礎に関する判断については以下のとおりとする。 ただし、平成 28 年9月 30 日以降は、①改正法附則第6条第1項の規定により引き続き行うことができることとされ、平成 27 年9月 30 日以降、暫定的な配慮措置により許可を受けて労働者派遣事業を行っている者、及び②①以外の者で平成 27 年9月 30 日から平成 28 年9月 29 日までの間に、暫定的な配慮措置により新規許可又は許可の更新を受けて労働者派遣事業を行っている者(平成 28 年9月 29 日までに事業主管轄労働局に対して許可の有効期間の更新に係る申請を行い、当該申請が受理されている者も含む。)からの申請に限るものとする。
新旧対照表も発表されています。参考まで。こちらの方が分かりやすいと思います。