派遣先通知書の年齢の意味
そもそもなぜ派遣先通知書を提出する必要があるのか?
派遣先は、派遣元から派遣先通知書を受け取ったら確認事項がたくさんあります。派遣先通知書の確認をせずに個別契約書と一緒にファイリングしてしまうと、知らぬ間に法令違反をしてしまう可能性があります。そこで、項目別に確認事項を記載しましたので、一度ご確認下さい。
□ 氏名
単に派遣社員の氏名を伝えるものではありません。今回の派遣労働者が、派遣先を離職後1年以内に受け入れるものに該当するか否か、直近3ヶ月以内に別の派遣会社から派遣されていたもので、組織単位の期間制限に抵触するか否かを確認する必要があります。
★派遣先(会社単位)は、派遣労働者が派遣先を離職後1年以内の者(60歳以上の者を除く。)と判明した場合は、派遣元に通知し、他の派遣労働者と交替してもらう必要があります。
□ 性別
単に性別を伝えるものではありません。
★特に女性の場合は配慮が必要です。
派遣社員の業務内容が女性に就労させても良い業務※かどうか確認が必要です。また、生理日の就業困難な女性が派遣先に休暇を求めた場合や育児時間等を申請した場合は、派遣先は休暇を認める必要があります。
※妊娠や出産・授乳機能に影響のある化学物質の取り扱いは、女性の就業が一部禁じられています。
□ 無期雇用労働者か有期雇用労働者であるかの別
事業所単位の期間制限、個人単位の期間制限に抵触する派遣労働者か否か、雇用安定措置を講じる必要のある派遣労働者か、確認する必要があります。
★派遣先は、直接雇用の依頼があった特定有期雇用派遣労働者(=同じ組織単位で3年受け入れ見込のある有期雇用派遣労働者)に対して、求人情報(正社員のみならず、契約社員・パート等含む。)の提供義務と優先雇用の努力義務があります。
また、特定有期雇用派遣労働者以外の派遣労働者(無期雇用含む。)にも、派遣先で正社員の求人を行う際は、その募集内容を派遣労働者にも周知する義務があります。
□ 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入の有無
派遣先は、派遣労働者が社会保険・雇用保険に加入しているか確認する必要があります。法律上加入要件を満たしているにもかかわらず未加入の場合は、派遣元に保険加入させるよう指導する必要があります。
★健康保険証の写しなどで確認が必要です。
年齢にはこんな意味がある!?
労務管理上キーワードとされることが多い18歳未満及び60歳以上の方は、労基法や派遣法で注目されがちな年齢なので、大方予想がつくと思います。ですが、中高年齢者と呼ばれる45歳以上は・・・?派遣法の歴史を少し遡って調べてみました。
□ 労働者が60歳以上の者であるか否かの別
事業所単位の期間制限、個人単位の期間制限に抵触する派遣労働者か否か、確認する必要があります。
□ 18歳未満(具体的な年齢を記載)
年少者に係る残業・深夜業の禁止、危険有害業務の就業制限、坑内労働の禁止など、18歳未満の派遣労働者は特に配慮が必要です。知らなかったでは済まされません。
□ 45歳以上
以前は、中高年齢者臨時特例措置(平成14年1月1日より平成17年3月31日までの雇用対策臨時特例法)による派遣受入期間の特例があり、「45歳以上」と記載する明確な理由がありましたが、現行の派遣法には、45歳以上と記載する明確な理由がありません。労働者派遣事業取扱要領にも具体的な記載は見当たりませんでした。
一方で、労働安全衛生法では、中高年齢者は労働災害の防止上その就業にあたって特に配慮が必要とされており、派遣元・派遣先ともに使用者としての責任を負います。労働災害の発生割合が高いことからも裏付けられます。
それでは、労働安全衛生法でいう中高年齢とは、何歳なのか確認したいところですが、労働安全衛生法や規則には特に定められていません。そこで、『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則 第2条』に、45歳と定められていますので、これを準用したものであると推測します。
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則
(中高年齢者の年齢)第二条 法第二条第二項第一号(中高年齢者) の厚生労働省令で定める年齢は、四十五歳とする。労働者安全衛生法
(中高年齢者等についての配慮)第六十二条 事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たつて特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない。
PREV