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不法就労の場合の派遣先のリスク

投稿日: 2015-12-01 |
最終更新日: 2015-12-25 |

派遣事業者 特化記事です

派遣会社の労務・助成金

受け入れている外国籍の派遣スタッフがオーバーステイであった場合、派遣先にリスクはあるのか?今回は派遣先の視点でまとめてみました。

派遣先に不法就労助長罪が適用されるケース

不法就労助長罪が適用されるのは、原則として派遣スタッフを直接雇用する派遣会社です。

しかしながら、派遣スタッフがオーバーステイであることが発覚した場合、派遣先事業者がその事実を知った(知っていた)にも関わらず、その外国人を働かせていたという場合には、派遣先事業者は不法就労助長罪に問われる可能性があります。これはその外国人を直接雇用していたか否かは関係ないので、特に注意が必要です。(入管法第70条、第73条の2)

派遣受入時に派遣先が在留カードを確認することは可能か?

答えはNOです。個人情報保護の観点から、派遣先は派遣スタッフの在留カードを確認することはできません。労働者派遣事業制度の性質上、派遣会社が派遣先に提供することができる派遣スタッフの個人情報は、派遣法第35条第1項の規定により派遣先に通知すべき事項のほか、派遣スタッフの業務遂行能力に関する情報に限られています。ただし、他の保管又は使用の目的を示して本人の同意を得た場合、または他の法律に定めのある場合は、この限りではありません。

派遣先に通知すべき事項(派遣法第35条第1項)

1 派遣スタッフの氏名
2 派遣スタッフが無期雇用か有期雇用であるかの別
3 派遣スタッフが厚生労働省令で定める者であるか否かの別(18歳未満、45歳以上60歳未満、60歳以上)※
4 雇用保険・社会保険被保険者資格取得届提出の有無
5 その他厚生労働省令で定める事項

※18歳未満の場合は、具体的な年齢を明記することが必要です。

つまり、派遣会社が派遣先に提供できる個人情報は、上記以外はNGということになります。もし今現在派遣先でも在留カードをチェックしている場合は、直ちに止めましょう。

個人情報の保護に関する違反

個人情報の保護に関する規定に違反した場合、派遣元事業主は、許可取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となります。

在留カードのチェックは派遣会社の責任です

不法就労は法律で禁止されています。不法就労した外国人だけでなく、不法就労させた事業主も処罰の対象となります。

◆事業主も処罰の対象となるケース
・不法就労させたり、不法就労をあっせんした者(不法就労助長罪)
3年以下の懲役・300万円以下の罰金
(外国人を雇用しようとする際に、当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません。

・不法就労させたり、不法就労をあっせんした外国人事業主
退去強制の対象

・ハローワークへの届出をしなかったり、虚偽の届出をした者
30万円以下の罰金

 

在留カードのチェックポイント

外国籍の方を雇用する前に、まず在留カードをチェックしましょう。

1.在留カードの有無をチェック

在留カードを持っていない場合は、原則として就労できません

Q在留カードを持っていない場合でも就労できる場合とは?
A旅券に後日在留カードを交付する旨の記載がある場合 / 「3月」以下の在留期間が付与された場合
※特に、「留学」「研修」「家族滞在」「文化活動」「短期滞在」の在留資格をもって在留している方については、資格外活動許可を受けていない限り就労できません

 2.在留カード表面の「就労制限の有無」をチェック

「就労不可」の記載がある場合は、原則として雇用することができませんが、裏面に「資格外活動許可欄」に次のいずれかの記載がある場合は、就労することができます。

①「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
②「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」※

資格外活動許可書の確認が必要です

また、一部就労制限がある場合もあります。
①「在留資格に基づく就労活動のみ可」
②「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」(在留資格「技能実習」)※
③「指定書により指定された就労活動のみ可」(在留資格「特定活動」)※

※法務大臣が個々に指定した活動等が記載された指定書を確認して下さい

参照:「外国人を雇用する事業主のみなさまへ 不法就労防止にご協力ください。」

 

また、不法就労助長罪を犯すと労働者派遣事業の許可が取り消されてしまいます

労働者派遣事業の許可取消事由

出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項第1号(不法就労助長罪)に違反し、外国人に不法就労活動をさせたことにより、同条の規定により、罰金の刑に処せられ、刑が確定した場合は、労働者派遣法第6条第1号規定する許可の欠格事由に該当することとなるため、労働者派遣事業の許可取消事由となる。

外国籍の派遣スタッフを受け入れる場合は、①「派遣元会社に在留資格・在留期限のチェックをどのようにしているか?」チェック体制を確認する、②コンプライアンス意識の高い派遣会社と取引することが何よりも重要だと思います。派遣料金の多寡だけで派遣会社を決定してしまうと、思わぬリスクがあるかもしれません。

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