【速報】「年収の壁」キャリアアップ助成金コース新設~概要が公表されました~
連日の報道で関心が高まっている「年収の壁」対策について、2023年9月27日付で「年収の壁・支援強化パッケージ」が決定し、公表されました。
「年収の壁解消 1人あたり50万円助成」・・・果たしてその内容は?
キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)
2023年10月以降、新たに社会保険加入した非正規労働者が対象です。
助成額
(1)手当等支給メニュー(手当等により収入を増加させる場合)★新設
1人当たり最大50万円助成
要件 | 1人当たり助成額 | |
① | 賃金の15%以上分を労働者に追加支給 | 1年目 20万円 |
② | 賃金の15%以上分を労働者に追加支給するとともに、 3年目以降、以下③の取組が行われること |
2年目 20万円 |
③ | 賃金の18%以上を増額させていること | 3年目 10万円 |
(2)労働時間延長メニュー(労働時間延長を組み合わせる場合)★既存の短時間労働者労働時間延長コースの拡大
週所定労働時間の延長 | 賃金の増額 | 1人当たり助成額 | |
① | 4時間以上 | なし | 30万円 |
② | 3時間以上4時間未満 | 5%以上 | |
③ | 2時間以上3時間未満 | 10%以上 | |
④ | 1時間以上2時間未満 | 15%以上 |
(3)併用メニュー
1年目に(1)の取組による助成(20万円)を受けた後、2年目に(2)の取組による助成(30万円)を受けることが可能です。
助成金活用イメージ
助成金活用イメージ(厚生労働省「年収の壁」への当面の対応策抜粋)
個人の社会保険料負担額相当分を会社が手当(仮称:社会保険適用促進手当)として補填し、本人の手取りが減らないようにします。
助成額20万円は個人の社会保険料負担額に相当する額であり、会社負担の社会保険料は想定されていません。
★初めの2年間は現行時給の15%以上UPか一時金で個人の社会保険料相当分を支給。3年目以降は、現行時給の18%以上UPが求められます。
実質2年半の時限措置ですが、人材不足の問題が年収の壁(106万円)が無くなることにより解消または軽減することが見込まれる場合は、ぜひ活用したい助成金です。
日雇派遣との関係
日雇派遣は、日々雇用や30日以内の期間を定めて雇用契約を締結した者を派遣することをいいます。また、31日以上の雇用契約(有期契約)でも、週20時間を下回る契約の場合は日雇派遣に該当します。日雇派遣は、例外業務に該当するか、一定の要件を満たした者(60歳以上、昼間学生、年収要件等)のみ認められています。
【日雇派遣の原則禁止について】改正に関するQ&A
Q.(問3)例えば、労働契約期間内の就労時間の合計を週単位に換算した場合に概ね20時間以上あるような場合には、雇用期間が31日以上の労働契約を締結することが「社会通念上妥当」と言えるという理解でよいか。 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/kaisei/05.html |
派遣会社が適用拡大事業所である場合、年収の壁(106万円)を意識して週20時間未満で働きたいパート派遣の方も多くいらっしゃったかと思います。今回の助成金を上手く活用することで、人材不足の派遣先と年収の壁を気にせず働きたいパートタイマーの方の需要と供給を満たすことができ、充実したサービスを提供することが可能になります。
助成金申請に向けて
キャリアアップ助成金を活用する場合は、事前に管轄の都道府県労働局にキャリアアップ計画書を提出し、受理される必要があります。
2023年10月下旬からコースが始まる予定です。計画書を提出した後に、実施が必要です。計画書の提出漏れや順番が前後しないようにご留意ください。
106万円の年収の壁は、現在は従業員数(フルタイム社保適用者)101人以上規模の会社の問題ですが、来年10月からは51人以上の会社に拡大します。該当する可能性のある企業様は、今のうちから対策を講じ、対象となる従業員さんへの十分な制度説明が必要と思われます。年収の壁というと大きな問題に聞こえますが、制度の仕組みや実際の計算式を理解して現実的な金額を算定することにより、「意外と影響度は低かった」「仕組みを知っていればもっと働いていた」なんてこともあります。ミカタ社会保険労務士法人には、助成金や社会保険・年金に詳しいスタッフが多数在籍しています。お気軽にご連絡いただければ幸いです。