たかが書類されど書類で賃金は決まってしまう(所定労働時間と法定労働時間が異なる場合)
残業があると、2割5分増の割増賃金の支払いが必要です。
とはいえ、それは法定労働時間を超えた分の場合です。1日8時間または1週間40時間の法定労働時間を超過した場合には割増賃金を払う義務が生じますが、例えば1日7時間が所定労働時間(9時―17時勤務 うち1時間休憩)のような、所定労働時間<法定労働時間の場合には割増す必要はなく、通常の時給を支払えば事足ります。
・・・と、書いてみるとそれは当たり前と思うのでしょうが、実際の雇用契約書を見ると、フォーマットが労働時間にかかわらず同じままになっていて、1日あたり所定労働時間7時間のヒトにも、1日8時間のヒトの雇用契約書と全く同じ文言になっていて『所定労働時間を超える労働時間には、割増賃金を支払う』と記載されているケースも見受けられます。
就業規則や雇用契約書を、どこかでダウンロードして深く考えず使用している場合には起こり得ることです。特に会社に複数の勤務形態があるときは注意が必要です。たかが書類されど書類であり、一度書いてしまった労働条件の不利益変更は社員の同意が必要になります。社員に雇用契約書を渡す前に、もう一度内容を確認してみましょう。法定以上の労働条件になっていることがあるかもしれません。