社会保険の適正加入をしていないことによる事業停止命令
社会保険の適正加入は派遣会社だけではなく、一般の会社であっても義務は変わりません。2ヶ月以内の雇用期間を定めて雇用される者は、社会保険の加入除外者となりますが、それ以外では下記1及び2の条件を共に満たしているのであればパートタイマー、アルバイト、有期雇用等の雇用形態に関わらず、契約期間が2ヶ月以内に限定されない(更新条項がある)場合は、社会保険の加入は強制です。
1.1週間の労働時間が正社員の概ね4分の3以上であること。
2.1ヶ月の労働日数が正社員の概ね4分の3以上であること。
※今回は、社員数500名以下の会社を前提とします。
具体的には、下記の表のとおりとなります。なお、この運用は平成28年10月1日から実施されています。
1週間あたりの労働時間 | 1ヶ月あたりの労働日数 | 社会保険の加入・未加入 |
正社員の概ね4分の3以上 | 正社員の概ね4分の3以上 | 加入 |
正社員の概ね4分の3以上 | 正社員の概ね4分の3未満 | 未加入 |
正社員の概ね4分の3未満 | 正社員の概ね4分の3以上 | |
正社員の概ね4分の3未満 | 正社員の概ね4分の3未満 |
この運用をしている前提で、派遣会社は派遣業の許可を受けているわけですが、これを守らなかったことで事業停止処分を受けた派遣会社さんもあります。平成29年3月31日付けで厚生労働省より公表されています。1ヶ月の停止を受けています。
公表事例はこちらです。
労働局需給調整部より、平成29年1月20日に文書で指導を受け、文書警告で示した期限(平成 29 年2月 20 日)までに、社会保険の適用基準を満たす少なくとも6名の派遣労働者を社会保険に加入させなかったことが原因です。加入にあたって猶予はあったわけでいきなり停止処分を受けたわけではないようですが、処分・公表は2ヶ月ほどで早い処理がなされています。労働局が派遣業許可を安易なものと考えてていない姿勢が表れていると思います。
改めて、社会保険の適正加入の必要性を考えさせられる事例でしたので、共有したいと思います。