フィリピン人を採用するときに知っておくべきこと~在留資格 特定技能での受け入れのケース~
前回記事(国外にわたる職業紹介 ~フィリピン版~)で、「フィリピン国籍の求職者を採用するためには、求人企業はPOEAへの登録が必要になります」とご紹介しました。今回は、具体的にどういった手続きなのかを解説いたします。コロナ禍の影響とは関係なく、常時人材不足の業種は存在します。そこへの人材供給の流れを作りたいという要望は、やはり根強くあります。
POEAへの登録後、採用活動が可能になる
前述のとおり、フィリピンから人を採用したい企業(以下、「求人企業」という。)は、駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(以下、「POLO」という。)での審査。そして、海外雇用庁(以下、「POEA」という。)への登録を経て、採用活動をすることが出来るようになります。この一工程が、他国の外国人を雇う場合との相違点であり、フィリピン人を雇用する場合の特有な手続きだと言われている部分です。また、採用までのスケジュールを長めに見ておくと良いと言われる理由は、ここにあります。
POEAはフィリピンにある海外雇用庁という政府機関に対し、POLOは海外の各国に拠点があり、実際に求人企業の面接等の審査をする機関です。何れの機関も、海外で就労するフィリピン人を不当な労働環境(例えば、不利な条件で働かされる等)から守るためにフィリピンを出国する前に、勤務先の会社(求人企業)を審査することが目的です。
世界最大の労働力輸出国と言われているフィリピンは、国民の1割程度が海外で生活していると言われており、フィリピン国民を守る為に注力していることが垣間見えます。因みに、この審査は、特定技能外国人だけではなく、技能実習生として雇入れる場合にも同様に行われます。
フィリピン特定技能外国人に係る手続きの流れについて
フィリピン特有だと言われる求人企業の登録までの流れ、POEAの登録後に特定技能外国人として日本に入国するまでの手続きの流れについて確認しておきましょう。
フィリピンは、特定技能に関する二国間の協力覚書を作成している国の1つである為、法務省のホームページに掲載されています。フローチャートも用意されていますので、こちらを見ておくと流れがイメージしやすいかと思います。
日本の入管での手続きだけではなく、POLO、POEA等の行政機関との手続きも必要になります。具体的には、日本の受入れ機関(雇用主)が、フィリピン国籍の方を特定技能外国人として受け入れるためには、受入れ機関が必要書類をPOLOに提出し、所定の審査を受けた上で、POEAに登録される必要があります。
<手続きの流れ>
①~④は、フィリピン特有の手続き、⑤~⑨は、共通の手続きとなります。
最初に少し触れましたが、①~④の手続きを経る分、採用及び入国迄の期間が長期化する傾向にあります。フィリピンでの国外にわたる職業紹介を取得する場合は、このひと手間をかけてでも、フィリピン人を雇用したい企業とマッチングさせる必要がある訳です。
外国人採用のきっかけ
フィリピン人に限られた話ではありませんが、外国人採用を検討したきっかけ等の事例をご紹介します。
・海外進出を検討している為、海外への事業展開を行っている為
・多様性が求められている為、日本人とは違う発想を求めている
・海外でのビジネスヒントを得ることを期待している
・日本人での担い手が少ない(不況下でも、もともと人材不足な業界。介護など)
こちらにご紹介した事例はほんの一例ですが、外国人を採用しようと思ったきっかけ・企業が外国人に求めていること・外国人社員の声等をまとめているハンドブックが、経済産業省より発行されています。
国外に渡る職業紹介の許可取得を検討中の企業様は、一度お目通し頂くことで、国外にわたる職業紹介へと繋がるヒントになり得るかもしれません。
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