有料職業紹介事業者は、メルマガ登録しないと労働局の調査で指摘される
職業紹介責任者には、最新労働関係法令等の理解が求められている
昨今、派遣事業だけでなく職業紹介事業に関する労働局調査も増えています。
最近の傾向ですが、複数の労働局で職業紹介責任者が厚労省人事労務マガジン(メールマガジン)に登録しているかが調査で確認されています。
法律の条文だけを読むと、メールマガジンを規定した明確な条文は見当たりません。
【職業安定法第32条の14】
一 求人者又は求職者から申出を受けた苦情の処理に関すること。
二 求人者の情報(職業紹介に係るものに限る。)及び求職者の個人情報の管理に関すること。
三 求人及び求職の申込みの受理、求人者及び求職者に対する助言及び指導その他有料の職業紹介事業の業務の運営及び改善に関すること。
四 職業安定機関との連絡調整に関すること。
ただし、業務運営要領を見ると明確な記載があります。
【職業紹介事業の業務運営要領抜粋】
職業紹介責任者は、「厚労省人事労務マガジン(メールマガジン)」に登録し、定期的に労働関係法令等の改正に関する情報を把握しなければならないこと。
なお、インターネットへの接続環境がない等の理由により、メールマガジンの登録・受信ができない事業者にあっては、自ら厚労省人事労務マガジンに登録することに代えて、厚労省人事労務マガジンに登録している職業紹介事業者の団体等から、メールマガジンが配信される都度、その内容を郵送等により受領し、労働関係法令等の改正に関する情報を 把握することとしても差し支えない。
業務運営要領上、「インターネットへの接続環境がない等の理由によりメールマガジンの登録・受信が出来なければ、メールマガジンが配信される都度、郵送等による受領でも良い」という取り扱いになっています。個々の事情に配慮した取り扱いがあるものの、原則はメールマガジンへの登録が必須だと読み取れます。
本メールマガジンへの登録目的は、「労働関係法令等の改正に関する情報を把握すること」ですので、職業紹介責任者は最新の改正情報も含め、労働関係法令等を理解することが求められていると推察されます。
ちなみに、過去の内容はバックナンバーより、確認可能です。ただ、雇用情勢や法律改正、助成金等の制度改正、労務管理情報などの最新の傾向・情報等を知って貰うために定期的(月に1回程度)に発行されるという趣旨を鑑みると、過去の情報を調査前にまとめて見るとの対応は、本来の趣旨から外れると思われます。
以上の理由からも、登録が漏れている方は、早めに登録しておきましょう。
月に1回度程の配信のため、調査直前に登録したとしても一度も受信出来ず、調査を迎えることになりかねません。
職業紹介の許可取得時には、労働局担当者からの説明もあり、大半の方がご登録頂いていると予想されます。以下のようなケースでは再度登録し、登録漏れに注意しましょう。
・メールアドレスを変更した場合
・職業紹介責任者を追加・変更した場合
メールマガジン未登録の場合は?
条文に明確な規定がないので、直ちに処分の対象とはならないでしょう。罰則規定も見当たりませんでした。ただ、罰則規定がなければ登録しなくても良いというものではありません。未登録であれば、指導の対象になり得る可能性がありますし、何より情報不足による労働法令違反に繋がるリスクがあります。職業紹介責任者には、責任者職業紹介の適正な遂行に必要な教育をする立場でもありますので、最新の情報は把握しておきたいところです。
◆その他、確認される事項
もちろん以下の内容も調査時には、確認される事項です。
・帳簿(求人管理簿、求職管理簿、手数料管理簿)の備え付け等
・掲示(許可証、許可条件通知書、手数料表、業務の運営に関する規程、個人情報適正管理規程)
事前に、記入漏れがないか掲示漏れがないか等も併せて点検しておきましょう。