【健康保険証廃止】派遣先は社会保険の加入確認どうする?
令和6年12月2日以降、従来の健康保険証は新たに発行されなくなりました。従来は健康保険証の写しを派遣先に提示して加入していることを証明していましたが、この度の健康保険証の廃止により、どのような書類の提示が必要になるか、まとめてみました。
派遣先は派遣スタッフの社会保険・雇用保険の加入確認義務がある
派遣先は、加入要件を満たした派遣スタッフを受け入れる場合、適正に保険加入しているか確認する義務があります。また、派遣元から加入していない具体的な理由の通知を受けた場合には、その理由が適正であるか確認し、その理由が適正でないと考えられる場合には、派遣元に適正に加入させてから派遣するように求める必要があります。
これらは、派遣元が派遣先に対し、派遣先通知書と社会保険・雇用保険の被保険者証等の提示等の方法により、行われます。
社会保険に加入させていることがわかる資料とは?
令和7年1月16日より労働者派遣事業関係業務取扱要領の内容が改正されています。業務取扱要領によりますと、次の資料が例として挙げられています。
・マイナポータル上の医療保険資格情報を保存したもの
・資格確認書の写し
・資格情報のお知らせの写し
・健康保険の加入者の氏名・保険者名・資格取得年月日の情報等の加入させていることがわかる資料
派遣先及び派遣元は、健康保険証が廃止されたからといって、加入証明・確認義務が免除されるわけではありませんので、ご留意ください。
派遣先への提示の際は、次の情報をマスキング
派遣元が派遣先に上記の資料を提出の際は、健康保険の保険者番号及び被保険者記号・番号を黒塗りした上で、原則として派遣スタッフ本人の同意を得る必要があります。
派遣スタッフの同意が得られなかった場合は、生年月日、年齢等も黒塗りするとともに、派遣先に確認後には派遣元に返送することを依頼するなど、個人情報の保護にも配慮する必要があります。
また、派遣先が上記資料の提示を受ける場合には、保険者番号及び被保険者等記号・番号を書き写すことのないようにしなければなりません。
派遣元は、派遣先通知書作成時には加入手続き中のため上記の書類を添付できない場合は、後日派遣先に提示または送付する必要があります。派遣先も、派遣先通知書に確認書類の添付が無い場合は、追って確認が必要となりますので、ご留意ください。
派遣スタッフの労働・社会保険適正加入は、労働者派遣事業の許可要件の一つとされています。「派遣スタッフが加入を希望していないから手続きしていない」は、残念ながら通用しません。
少し先ですが、令和10年10月1日以降、雇用保険の被保険者の要件のうち、1週間の所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に変更されます。社会保険の適用拡大に加え、雇用保険も適用拡大が予定されています。派遣元は、管理体制を見直す等により手続き漏れが無いように、今以上に留意する必要があると思われます。