平成29年5月30日(予定)より職業紹介許可基準が変わります
平成 28 年 12 月 13 日労働政策審議会建議「職業紹介等に関する制度の改正について」を踏まえ、職業紹介事業の許可基準のうち、事業所に関する要件が変わる予定です。具体的にどのように変わるのか、まとめてみました。
面積要件廃止⇒プライバシー保護へ
現行の事業所要件は、職業紹介に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あれば要件を満たします。が、今後はこの面積要件に代えて、下記いずれかのプライバシー保護措置を講じていないと許可がおりないことになります。
(ア)職業紹介の適正な実施に必要な構造・設備(個室の設置、パーティション等での区分)を有すること。
(イ)他の求職者又は求人者と同室にならずに対面の職業紹介を行うことができるような措置(予約制、貸部屋の確保等)を講ずること。
面談時の対応については、いずれも以前より運用で求められてきたものではありますが、正式に許可基準に加わることで、要件が厳格になります。つまり、許可後に(ア)(イ)いずれかの措置を講じていないと判断された場合は、許可取消の対象となる可能性があるということです。
(ア)の措置は明確なので特段問題ないと思われますが、(イ)の措置を講じる場合は、紹介事業に従事する社員にルールを浸透させるために、面談のためのマニュアルを作成しておくと良いかもしれません。
※なお、当分の間、現行の面積要件(20㎡以上)を満たす場合はプライバシー保護措置は必須ではないようです。面積要件廃止を期に、事業所面積20㎡未満で職業紹介事業の許可申請を検討される場合は、プライバシー保護措置が必須になりますので、ご留意下さい。
プライバシー保護措置対応レイアウト図
実務的には、どのようなレイアウト図になるのでしょうか?要件別に作成してみました。
(ア)の要件を満たすレイアウト図
パーティションで隔離し、面談者の顔が見えないようにします。パーティションの高さは、180cm以上(背伸びしても見えない高さ)が望ましいです。
(イ)の要件を満たすレイアウト図
面談スペースはあるけどパーティションで区切ると不都合がある場合は、完全予約制とし、時間外の方は外でお待ちいただく方法です。
また、事務所に適切な面談スペースが無い場合は、レンタルオフィスの利用もありです。
平成29年5月30日は、改正個人情報保護法施行日でもあります。取り扱う個人情報の多寡にかかわらず、全事業主が規制の対象になります。今回の事業所要件改正が同日であるのは、改正個人情報保護法施行日に合わせたものと考えられます。職業紹介は、求職者のトップシークレットを扱う仕事です。万一、個人情報が漏洩してしまった場合は、30万円の罰金が課され、許可取消の可能性もあります。PCのセキュリティ対策の強化、社員教育を徹底し、対策を講じておきましょう。