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業績悪化時は、法人税の繰戻還付で基準資産を増やす。

投稿日: 2020-04-03 |
最終更新日: 2020-04-19 |

派遣会計・税務

業績悪化時における基準資産額の維持

派遣業の更新時には、「基準資産」の額が問われます。原則2千万円です。基準資産は、貸借対照表に記載されている純資産の額です。営業権や繰延資産がある場合は差し引くことになりますが、通常の会社では無視しても良い論点だと思いますので、ここでは分かりやすく純資産の額として説明します。なお、平成30年9月29日までの経過措置を適用している、派遣スタッフ数が常時10名未満の会社は1,000万円となります。

 

純資産は、通常、資本金(資本準備金)+利益剰余金 となります。利益剰余金は設立~直近決算日までの税引き後利益の累積額です。今期で赤字が1000万円になれば利益剰余金も1000万円減少するため、基準資産も当然1000万円減少します。

 

この記事の投稿現時点【2020年4月3日】で、コロナウイルスによる派遣契約の解除・スタッフの雇止め(更新しない)のニュースが、レジャー施設を中心に広がっています。一般消費者に最も近い、サービス業への派遣を主とする派遣会社は影響を受けやすく、結果として派遣許可の更新時の決算が赤字に転落することで、基準資産が2000万円を割り込む例もでてくることでしょう。

 

もちろん、経費の削減や必要があれば増資を行うことも検討しないといけませんが、赤字になることが不可避であれば真っ先に考えることは、①決算月の変更と②法人税の繰戻還付 を適用することを考えるべきです。①は赤字を切り離す(次年度に繰り越す)方法、②は許可前の税引き後利益を増やす方法です。必要があれば①と②の両方を行うことも検討すべきです。業績予測をいかに早く・正確に行うかがポイントです。

 

この2つの方法を推奨するのは、登記などの事務コストがかからずに基準資産を増やせるからです。税務署への届出・申告だけで済みます。ただし、②については下記の法人税80条の記載があることから適用を躊躇うケースが見受けられます。税理士から適用を止めましょう。税務調査が来ますと言われる事例もあるようです。

 

繰戻還付は税務調査が必ず来るという誤解

 

法人税法80条7項
税務署長は、前項の還付請求書の提出があつた場合には、その請求の基礎となつた欠損金額その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求をした内国法人に対し、その請求に係る金額を限度として法人税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する。

 

ただし、この調査というのは、いわゆる会社へ来場する税務調査に限るものではありません。税務署内での机上調査も含んだ言葉であり、繰戻還付の申請をすれば必ず税務調査があり、調査が終了しないと還付もされないという理解は誤りです。実際に、弊社は多数の繰戻還付の申請を行い、法人税の還付を実現していますが、税務調査に至ったケースというのはごくわずかです。

 

また、仮に税務調査となったとしても修正申告をする分、赤字が減って還付額が減るだけであり、追徴税額等の支払いを実際にすることはないともいえます。そもそも今期が赤字だから還付を受けるわけで、余程の経理ミスがない限り、調査を受けても赤字が減るだけです。実は黒字だったというケースは、このコロナウイルスの影響を受けて減収になる派遣会社では考えにくいでしょう。もちろん架空経費を作って赤字にし、繰戻還付を行うというのは脱税なのであってはいけないことです。

 

繰戻還付額は、前年度の法人税×【当年度の赤字(欠損金)÷前年度の黒字(所得金額)】で計算します。前年度で支払った法人税がなければ適用はありません。この算式での赤字は前年度の黒字を超える場合は、黒字と同額として計算します。例えば前期が1000万円の黒字で法人税を200万円納税。当期が赤字800万円というケースでは、200万円×800万円÷1000万円=160万円が還付されます。

 

この還付額は、決算書において、未収金(未収還付法人税等)として計上することで、利益となります。当然、基準資産も増えるわけです。この未収金計上も忘れないようにしましょう。仕訳としては、(借方)未収還付法人税等/(借方)過年度法人税等 とするのが一般的です。この法人税の繰戻還付を行うと、連動して地方法人税(法人税×4.4%)も還付となります。忘れないようにしましょう。

 

平成30年9月29日ギリギリに基準資産額の要件をクリアし、特定派遣から一般派遣の許可を得た会社は、3年後の更新なので平成33年9月(令和3年。つまり来年)直前の決算書の数字が極めて重要となります。今のうちから基準資産をいかにして満たすかを検討しておくべきでしょう。

 

 

 

 

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