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労使協定方式においては、通勤手当実費の定義が重要です

投稿日: 2020-02-16 |
最終更新日: 2020-03-06 |

派遣法改正

 

労使協定方式において、通勤手当を定める場合は2パターン。

労使協定方式を採用する派遣会社で、通勤手当は実費精算とする動きが強くなってきた感があります。派遣先と派遣単価交渉をするうえでも実費は明快で、実際にかかるコストのため、派遣先としても負担することを拒む合理的な理由は乏しいためでしょう(実費であるので理論的には、派遣元が得をするわけではないからです)。

労使協定方式で認められる通勤手当は下記の2パターンになります。実費支給は、下記の②になるわけです。

①一般通勤手当 以上の額(時間72円以上)が時給に含まれている
②かかった実費を支給する。

 

①②のいずれかに統一しても良いですし、①②の両方を一つの労使協定で併存させることも可能です。一つの労使協定において定める場合は、職種や雇用形態(有期・無期)等に応じて選択できれば問題ないでしょう。

 

前述したとおり②を選択する派遣会社が多くなると推測しています。①は時給72円(一般通勤手当)以上を給与にオンする(給与に含める)ことです。現時点での派遣スタッフへの時給が高い会社については、①を採用しているケースも多いです。

②は、文字どおり実費です。公共交通機関を使う方であれば定期券の代金や実際の往復の電車代などを、給与とは別に支給します。ただし、実費といっても自動車通勤者のように実際のガソリン代の消費を測定することが困難なものもあります。②の実費精算を行う派遣会社で重要なのは、自社における「実費」の定義付けです。

わが社における実費とは何ぞや?という問いに対する回答を労使協定に記載することが通常になります。曖昧さが残ると、個別事情を汲むことになり、運用も難しくなります。

都心部へのいわゆる事務スタッフ派遣のケースでは、ほぼ100%公共交通機関を使用するので迷うことは先ず起きないでしょう。一方で製造現場への派遣については駅前に工場があることはなく、ほぼ自動車通勤となるため実費の定義は必要となります。実費について労使が合意したことが労使協定で確認できることが求められます。

例示として、次のようなモデルが考えられます。

1.通勤手当とは、公共交通機関または自己所有の車、自転車等の交通用具を使用する者に対し、実費を支給する。ただし、以下の者についての実費はゼロ円とし、支給しないものとする。

・公共交通機関または交通用具を一切使用しない者
・交通用具を使用する者で片道2キロメートル未満の通勤距離の者

2.公共交通機関を利用する者の通勤経路については、会社が指定する合理的な通勤経路に拠るものとする。ただし、本人の申請により、別経路を選択すべき事情があると会社が認める場合には、その限りではない。

3.交通用具を使用する者への実費は、就業先と自宅との直線距離に対して、1キロあたり〇円の燃料費見込み額とする。直線距離の測定には、原則としてGoogle マップ(https://www.google.co.jp/maps/)を使用するものとする。

4.通勤手当は、月額15,000円を上限とする。

 

徒歩通勤者と所得税法で定める近距離(片道2㎞未満)の者には実費が生じないと定めます。全員一律に72円を時給にオンする①とは異なり、文字通り通勤手当ゼロのケースも有り得る定め方です。ゼロとなる者が明記されていればよく、ゼロ円であっても問題はありません。下記の労使協定方式に関するQ&A にも明記されています。

 

問3-4 実費支給で通勤手当を支払っているが、例えば、派遣就業の場所と居住地の間の距離が1㎞未満である場合を「徒歩圏内」とし、通勤手当を支給していない場合、どのように取り扱えばよいか。
答 。派遣就業の場所と居住地の間の距離が1㎞未満である場合を「徒歩圏内」として通勤手当を支給しないことを労使で合意し、その他の場合を実費支給している場合には、局長通知第2の2の(1)の実費支給と解される。「徒歩圏内」の距離については、(人事院規則(原則として2㎞未満の場合には通勤手当は支給しない)等を参考にしつつ、)労使でご判断いただくものである。

 

通勤手当実費の上限額を設定することは有効です。派遣スタッフの所定内労働時間×72円を上回る水準であれば、上限額を設定することは問題ありません。所定内労働時間は個々の労働条件通知書に記載された時間や、または全員の平均所定労働時間でも構いませんが、迷わないように具体的に決めることが重要です。今回のモデルでは、通常の正社員の1ヶ月平均の法定労働時間は173時間(「週40時間×365日÷7日」÷12ヶ月)になるので、173時間×72円=12,456円は必須と考えて、それを上回ってキリの良い額として15,000円を例示しています。

実費であっても公共交通機関を使用しないケースでは、実費の定義額が低すぎて派遣スタッフに負担をさせているケースが出てくることを想定し、上限額を設けるケースでは所定労働時間勤務での、①一般通勤手当を下回らない配慮が求められています。

 

自動車通勤における実費をどう計算するか?

前述のモデルでは、自動車通勤者には、就業先~自宅の直線距離 × 1キロあたり〇円の燃料費見込み額を支給します。この「1キロあたり〇円の燃料費(ガソリン)の見込み額」ですが、『平均ガソリン価格÷自動車の燃費基準値=1キロあたりの金額』を基準として定めるのが良いでしょう。この基準をもとに、1㎞あたり〇円を試算して定めます。車種は様々なので100%の正解はないわけですが、今後の調査があっても、おおむね基準を上回る額を支給しているという根拠資料は残しておくべきでしょう。

下記のような、公的機関のサイトの燃費情報をもとに試算することを推奨します。

石油製品価格調査

・・・平均ガソリン価格を知ることができます。

◇自動車燃費一覧

・・・燃費(1リットルで、何㎞運転できるか)を知ることができます。

 

曖昧な表現になりますが、実務の感覚としては1㎞ 10円~15円内での設定が多いように思われます。

いずれにしても、労使が協議して決定した実費であるという前提が重要であり、労使協定の記載内容については一定の納得性と配慮が感じられる内容にすべきだと考えています。

 

 

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