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派遣会社での令和4年度キャリアアップ助成金と雇用保険料の増加

投稿日: 2022-02-15 |
最終更新日: 2022-02-16 |

派遣会社の労務・助成金

気になる社会保険・雇用保険

キャリアアップ助成金(正社員化コース)見直し~無期転換廃止、予算縮小~

令和4年度より、派遣業界の方が多く活用していると思われるキャリアアップ助成金(正社員化コース)ですは、令和3年度の予算より170億円の縮小、「無期転換の選択肢が廃止」の予定です。

 

(参考資料)雇用環境・均等局 令和4年度予算概算要求における重点要求(参考資料)

・令和3年度予算額:739億円
・令和4年度要求額:569億円

 

令和3年度の現状のコースは、下記のとおり3種類、転換の選択肢があります。

①有期 → 正規
:1人当たり助成金額 57万円<生産性要件を満たす場合は72万円> (42万7,500円<54万円>)
②有期 → 無期
:1人当たり助成金額28万5,000円<生産性要件を満たす場合は36万円>(21万3,750円<27万円>)

③無期 → 正規
:1人当たり助成金額28万5,000円<生産性要件を満たす場合は36万円>(21万3,750円<27万円>)

< >は生産性要件を満たす場合の助成金額。(青書き)は大企業に該当する場合の助成金額

このうち、

②有期→無期 のみが派遣会社でも適用できるコースです。この助成金の考え方は、雇用形態が「派遣」である限り、会社上の定義や雇用形態が「正社員」であったとしても、「正規」にはあてはまらず「無期」となります。

 

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース以外)Q&Aの抜粋参照

 

そして、令和4年度からは下記のとおり、2種類の選択肢に縮小されます。有期→無期のコースが無くなります。

①有期 → 正規
:1人当たり 57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
②無期 → 正規
:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)

 

本改正は、令和4年4月1日転換からの適用となります。つまり、令和4年3月31日までの無期転換(取り組み)であれば、助成の対象となります。無期契約・正社員転換を検討している派遣スタッフがいる場合は、令和4年3月中に対象者を抽出し、早めに取り組みを進めることをオススメします。「無期」に転換しても助成が受けられなくなるなら、「正社員」派遣への転換を検討しようと思われる派遣会社の方もいらっしゃるようですが、それは前述のとおり、派遣会社では令和3年度の現行法でも助成金の対象となりません。派遣スタッフの有期から無期・正社員雇用へのキャリアアップ助成金は令和4年4月1日より事実上なくなるわけです。

 

雇用保険料率の改正

ご存知の方も多いと思いますが、令和4年度は、雇用保険料の改正が二段階で行われる予定です。

本内容は、雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和4年2月1日提出)で記載されています。

(参考資料)第208回国会(令和4年常会)提出法律案 雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和4年2月1日提出)
概要:雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要

 

記載内容を表にまとめてみました。(黄色が変更箇所です。)

普段はあまり意識されていない方も多いと思いますが、雇用保険料は「内訳」に記載のとおり、目的に応じて負担割合が決まっています。
「雇用保険二事業」(ピンク部分)は、助成金の財源ともなっている項目です。労働者負担はなく、事業主のみが負担する項目ですが、令和4年4月から負担増(労働者は変更なし)となります。
続いて、同年10月から「失業等給付」の改正が見込まれています。労使折半ですので労働者・使用者共に負担増となる見込みです。

以上を簡潔にまとめると、令和4年度は「派遣スタッフは、正社員雇用であってもキャリアアップ助成金の対象にはならなくなる」うえに、「雇用保険料負担も増える」という派遣業界にとっては厳しい見直しの連続となりそうです。ただ、改正前に情報を知ることで、回避方法・対策を検討することができ、選択肢は増やせます。派遣先への単価交渉時に、雇用保険料率が増えることも織り込んで単価アップを図りたいところです。

 

依然として、連日の新規コロナ感染者数を見る限りは、終息は少し先のようにも思われますが、国としてはポストコロナを念頭に置いた対策に向けて動き始めようとしています。

例年4月になると、助成金情報が公表されますので、引き続き最新の情報に注目していきたいと思います。

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