労働者派遣事業報告書の令和2年4月以後の書式
事業報告書様式が変わります。
令和2年4月1日より、2020年4月施行分の書式となります。書式そのものは既に公開済みです。
労働者派遣事業関係業務取扱要領・様式・各種報告書(2020年4月1日以降)
今回の事業報告書の変更となった個所は、下記3点です。労使協定方式による賃金決定をしている派遣会社が影響を受けます。派遣先均等・均衡方式を適用している会社は特に変更点はありません。
②協定対象派遣労働者の報告対象期間末日の1日あたり平均賃金を記載
③協定対象派遣労働者の令和2年6月1日時点の人数を記載
例えば、②については下記の様式への記載が必要となるわけです。職種別の時給目安が分かり、局長通知の賃金額を上回っているかを労働局側でも簡易的に分かる目安となるため、設置されたのだと思われます。
●様式第11号(第4面)業務別派遣料金及び派遣労働者の賃金(日雇派遣労働者を除く) より抜粋
派遣料金(1日(8時間当たり)の額) | 派遣労働者の賃金(1日(8時間当たり)の額) | |||||||||
派遣労働者平均 | 派遣労働者平均 | |||||||||
無期雇用 派遣労働者 |
有期雇用 派遣労働者 |
無期雇用 派遣労働者 |
有期雇用 派遣労働者 |
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協定対象 派遣労働者 |
協定対象 派遣労働者 |
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38 | 生活衛生サービス職業従事者 | |||||||||
39 | 飲食物調理従事者 | |||||||||
40 | 接客・給仕職業従事者 | |||||||||
41 | 居住施設・ビル等管理人 | |||||||||
42 | その他のサービス職業従事者 |
事業報告書の提出期限は、派遣元事業主の事業年度の終了の日の属する月の翌月以後最初 の毎年6月30日です(則第17条第3項第1号に拠る)。分かりにくい表現ですが、例えば、決算月が6月の派遣会社であれば、今回の令和2年6月30日までに提出すべき事業報告書は、令和元年6月決算の事業年度について、事業報告書を提出することになります。
4月決算・5月決算の派遣会社は気をつけよう
①と③は、どの決算月の派遣会社であってもすべて記載が必要になりますが、②については個々に決算月が異なることから記載内容が変わります。令和2年3月決算の会社は3月31日時点では協定対象派遣労働者が存在しません。改正法が4月1日から施行されるためです。
決算月(報告対象期間の末日) | 令和2年6月30日期限報告の報告対象期間 | 報告対象期間末日での協定対象労働者の有無 |
令和2年1月31日 | → 平成31年2月1日から令和2年1月31日 | 存在しない |
令和2年2月29日 | → 平成31年3月1日から令和2年2月29日 | 存在しない |
令和2年3月31日 | → 平成31年4月1日から令和2年3月31日 | 存在しない |
令和2年4月30日 | → 令和1年5月1日から令和2年4月30日 | 有り |
令和2年5月31日 | → 令和1年6月1日から令和2年5月31日 | 有り |
令和2年6月30日 | → 平成30年7月1日から令和1年6月30日 | 存在しない |
令和2年4月を含む期間が報告対象期間に入っていると、決算日での協定対象派遣労働者の1日あたり賃金を集計する必要があります。そのため、4月決算・5月決算の会社は今回の新様式により記載する内容が増えることになります。もっとも、全派遣スタッフが協定対象派遣労働者であれば、集計方式そのものに変更はないので、さほど気にすることではないでしょう。
逆にいえば、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式が併存する会社は集計が面倒になるといえます。
事業報告書の報告日が6月30日を期限としていることから起きる不平等であり、これについて記事投稿時点では、特別な配慮は公表されておりません。今後、配慮が公表された場合は改めてお伝えしていきます。
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直近の事業年度が、令和2年4月1日から令和2年5月31日までに終了する派遣元事業主については、提出期限が令和2年8月31日とすることに配慮されました。(参考;福岡労働局HPより)
4月1日からの改正に向けて、労使協定の作成・派遣先との単価交渉なども大詰めに入ってますが、この改正法対応後の事務処理にも気をつけたいところです。