2017年4月以後の派遣会社の法定福利費率(愛知県version)
愛知県における、2017年4月以後の法定福利費率です。
2017年4月分-8月分までの保険料率は、下記のとおりです。(9月には厚生年金保険料率の改定があります)
法定福利費の内容 | 会社負担率 | 社員負担率 | 合計負担率 |
健康保険料率 | 4.960% | 4.960% | 9.920% |
介護保険料率 | 0.825% | 0.825% | 1.650% |
厚生年金保険料率 | 9.091% | 9.091% | 18.182% |
雇用保険料率 | 0.600% | 0.300% | 0.900% |
労災保険料率※ | 0.300% | 0% | 0.300% |
合計保険料率 | 15.776% | 15.176% | 30.952% |
健康保険料率は、前年の9.970%から0.050%下がっています。雇用保険料率は、会社・社員ともに0.1%づつ下がっています。失業率が改善している(逆にいえば人手不足)ことを受けて、減額されています。
僅かとは言え、法定福利費が下がることはありがたいことです。派遣会社の人件費原価を考えるうえでは朗報です。なお、労災保険料率は最低の水準で記載しています。営業販売系の現場へスタッフを派遣する派遣元会社であればこの料率でOkですが、製造現場へ派遣する場合は労災保険料率は上記よりも増えますのでご注意ください。
愛知県といえば、自動車製造の現場への派遣も多いエリアですが、その場合の労災保険料率は0.300%ではなく、0.400%となります。
(参考リンク)
なお、労災保険制度には、事業主の皆様の保険料負担の公平性の確保と、労働災害防止努力の促進を目的として、 その事業場の労働災害の多寡に応じて、一定の範囲内(±40%)で労災保険率または労災保険料額を増減させる制度(メリット制)があります。 最低でも保険関係が成立してから3年以上経過している必要はありますし、一定の規模要件もあるため、すべての派遣会社で適用があるわけではありませんが、知っておきたいところです。
派遣業の許可申請を契機とした、年金事務所の調査もあります
派遣業の許可申請をするときは、雇用保険・社会保険加入が適切に行われているかは重要なチェックポイントの一つです。様式第3号ー3(雇用保険等の被保険者資格取得の状況報告書)に、未加入の派遣スタッフについては、その氏名と未加入の合理的な理由の記載が求められます。法定福利費を減らしたいから未加入というのは、当然認められません。
また、許可申請時点では正しく加入していても、申請後は適切に加入手続きをしないことも考えられるため、許可申請を行った会社を対象に、労働局から、社会保険を管轄する年金事務所へ調査依頼を行うケースもあります。
派遣許可申請を控えている会社は、年金事務所の調査があることを想定して、適切な加入手続きをしておくべきです。また、加入は適正に行われていても標準報酬月額の金額が誤っているケースもあります。
法定福利費を下げたい気持ちは分かりますが、故意に標準報酬月額を低く届け出ていたという悪質な事例は、派遣業に関わらず見受けられます。加入は適正だが、保険料が適正に払われていないという視点での調査も増えるのではないかと推測しています。許可申請の時点だけ整えておけば良いというような短絡的な考え方は止めてほしいところです。