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派遣業は知っておくべき、令和3年度キャリアアップ助成金の支給要件

投稿日: 2021-01-02 |
最終更新日: 2021-12-30 |

派遣会社の労務・助成金

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の改正

令和2年12月28日。厚生労働省より、「ウィズ・ポストコロナ時代を見据えた雇用対策パッケージ」が公表されています。そのなかに、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の拡充が記載されています。

紹介予定派遣を積極的に受け入れている派遣先には朗報と言えます。令和3年度(令和3年4月1日~令和4年3月31日)までの時限措置ではありますが、紹介予定派遣を通じた正社員化に取り組む派遣先事業主への助成対象の拡充と銘打って、具体的には、訓練の有無にかかわらず、2ヶ月以上の受け入れ期間があれば、派遣スタッフ受け入れであっても助成金の対象となります。令和2年度では最低でも6カ月以上の受け入れ期間が必要ではありましたが、2ヶ月以上でOKとなります。

 

 

●現状(令和2年度)の対象者

①派遣労働者で、派遣先の事業所に直接雇用された場合、直接雇用前に当該事業所に従事していた期間が6か月以上ある者

②紹介予定派遣の場合は、派遣先が実施した有期実習型訓練(正社員に転換することを目的に、OFF-JTとOJTを組み合わせて実施する職業訓練)を受講し、修了した場合に限り、上記期間が2か月以上の者

 

 

●改正後(令和3年度)

令和2年1月24日以降に離職した者であって、就労経験のない職業に就くことを希望する者である場合については、有期実習型訓練を受講した者ではなくても、紹介予定派遣の後、派遣先の事業所に正社員として直接雇用された場合、直接雇用前に当該事業所に従事していた期間が2か月以上~6か月未満でも支給対象とする。

 

経験のない職種。つまり未経験者の採用になるわけですが、裏を返せば、人材過多であった職種から人材不足への職種への人材移動を後押しする施策だと言えます。コロナの影響による雇用悪化を防ぐことはもちろんですが、国としては業界の垣根を超えた人材移動をして、ワークシェアを日本全体として進めなさい・・・というメッセージだと推測できるかもしれません。

いずれにしても派遣会社にとっても有料職業紹介による手数料を得る機会は増したと言えます(なお、派遣業の許可と有料職業紹介の許可は別個のものであることは言うまでもありません。)

令和3年度の助成金額

助成金額そのものは令和2年度と変更ありません。下記の金額となりますす。

 

【1人当たりの支給額】

中小企業:85万5,000円<108万円>
大企業 :71万2,500円<90万円>

※ < >内の額は、生産性の向上が認められる場合に支給されます。

 

生産性要件をクリアしていると助成金額が加算されるので、助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、その3年度前に比べて原則6%以上伸びていることに加え、その3年間の期間に会社都合の離職がないことが求められるので、なかなか難しいかもしれません。なお、退職勧奨の受入も会社都合となります。

 

生産性は、派遣先の生産性となります。具体的には下記の算式で判定します。付加価値とは、法人の場合、【営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課】の合算です。

 

●生産性 ゠ 付加価値÷雇用保険被保険者数(日雇労働被保険者や短期雇用特例被保険者を除く。)

 

派遣会社としても、未経験職種への営業を強化するためのきっかけとなるかもしれません。複数職種への派遣が可能な体制作り(派遣職種の複線化)は、このコロナ禍で際立ってきたといえます。いずれにしても派遣元・派遣先・派遣スタッフのいずれの立場においても、良い改正だといえるでしょう。

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