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派遣スタッフの雇止めと、ADR利用による紛争解決

投稿日: 2020-06-03 |
最終更新日: 2020-06-04 |

派遣事業者 特化記事です

有期雇用スタッフの雇止めが、法的にどのように規定されているか

コロナウイルスによる緊急事態宣言以降、派遣スタッフの雇止めについて相談をいただくことが増えています。このような景気環境下でのやむなき判断も多いです。ただし、スタッフ側は当然不利益を被ることになるので結果としてトラブルになることもあります。

雇止めと解雇は混同されることが多いですが、雇い止めは、あくまで契約期限が終了した後の更新がない状態であるのに対して、解雇は契約期間の途中による労働契約の一方的解除(会社都合の退職)となります。雇止めは契約期間の雇用そのものは守っています。なお、契約期間満了前においては、やむを得ない事由がない限り、解雇することができないとされており、有期労働契約者の契約期間内の権利が規定されています(労働契約法17条)。

実務的に注意すべき点は、「雇止めの予告」を行っているかです。契約時に更新をしないことが明らかな者は予告は必要なく、期間満了で退職というのみです。一方で、更新がある(またはあり得る)有期労働契約については、契約満了日30日前に雇止めの予告が原則求められます。

ただし、①有期労働契約のう更新が2回以下、もしくは②継続雇用期間が通算1年以下である有期労働契約。こ2つの場合には予告は不要です。言い換えれば、3回以上の更新・1年超の勤務期間となることが明らかな派遣スタッフは、契約期間の更新が期待されている余地があると考えられ、具体的には「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」に記されています。(以下、雇止めに関する基準、と記します)

この基準は一見、根拠もなく回数が記されているようにも見えますが、下記の労働基準法14条第2項に基づく基準ではあるため、法的な強制力がないとはいえません。なお、予告不要な場合でも予告した方がトラブルを防ぐうえで望ましいといえます。

 

労働基準法14条(契約期間等)

(第2項) 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる

(第3項) 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

 

雇止め(有期雇用契約の満了にいる退職)については、派遣法自体に規定されていることではなく、上記の基準法14条と、さらに下記の労働契約法19条に記されており、その具体的内容を定めたものが「雇止めに関する基準」となります。

 

労働契約法19条(有期労働契約の更新等)

有期労働契約であって、次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす

①当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

②当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 

短い条文ながら理解するには意外と苦心するのが、この19条です(なお、スタッフ側が契約更新を求めない場合は当然、該当しません。)。

分かりやすくいえば、契約を更新しない理由が合理的でないときは、満了前の契約と同じ条件で更新しなければならないということを定めています。

 

有期契約を更新しない、合理的な理由

「この雇用契約は更新されるはず。だって、毎回、何の説明もなく何度も更新されているもの・・・」
「この雇用契約は更新されるはず。だって、派遣元の管理者が次もよろしくね、と言っていたもの・・・」

こういう状態で派遣契約が更新されてきたスタッフを雇止めする場合には、この労働契約法19条が該当する可能性があるわけです。具体的に、この19条を担保するのが、やはり「雇止めに関する基準」です。基準では、労働者が雇止めの理由について証明書を会社に請求した場合は、遅滞なくこれを交付すると定めています。

ここに記載する理由は単なる契約期間満了では、合理的な理由ではなく解雇権を乱用したものと同義とされ、NGとなります。解雇権の乱用禁止は労働契約法16条に明記されているからです。

そのため、雇止めの理由を記載する証明書には、下記例示のような理由を記載することが求められています。


・ 前回の契約更新時に、 本契約を更新しないことが合意されていたため
・ 契約締結当初から、 更新回数の上限を設けており、 本契約は当該上限に係るものであるため
・ 担当していた業務が終了・中止したため(派遣先と派遣元との契約終了は、ここに該当。ただし、次の派遣先を探す派遣元の努力義務はある。)
・ 事業縮小のため
・ 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
・ 職務命令に対する違反行為を行ったこと、 無断欠勤をしたこと等勤務不良のため 等


言い換えれば、更新をしない理由の「例示」は、当初の有期雇用契約書で記載することが求められます。例示は、反復更新が当たり前ではない状態を示しているわけで、雇用契約書に記載してなければ、更新が期待されることに繋がる余地があると考えられます。

多くの派遣元会社では雇用契約書の更新条項に上記の例示を示していることが増えましたが、昨今の人手不足のなか、更新ごとに上記に該当していないかを明確にスタッフに示せてないことも依然多いです。反復更新が当たり前ではないことを書面で残すことが求められます。書面がないと、派遣スタッフとしても納得がいかないことでしょう。

その結果、次のADR(裁判外紛争手続き)を選ぶケースも増えている感があります。

 

ADRによる紛争解決(あっせん)

裁判ではないが、事実上裁判と同様の効果が得られるという意味で、労務トラブルがあったときの利用が増えていくと推測されているのが、裁判外紛争手続き(ADR)です。具体的には各都道府県の労働局が紛争調整委員会を設けて、会社とスタッフとの話し合いによる解決(あっせん)を取り持つことになります。解雇・雇止めについてもあっせんで対応できる範疇となります

あっせんは、裁判のような長期化を前提としておらず、原則1回だけで済むことや費用がかからないことから、コストゼロで早期解決を望む派遣スタッフのあっせん依頼は間違いなく増えるでしょう。当面の生活費を考えれば、裁判で争うメリットは乏しいからです。労働組合であっても1回で決着することは難しいでしょうし、時間もかかることを考えれば、このあっせんが労働問題の解決の合理的なスタイルになっていくと考えられます。

もちろん、あっせんは任意の手続きであり、派遣会社・スタッフのいずれか一方が拒めば成立はしません。裁判による解決を妨げるものではありません。ただし、あっせんを使う イコール 早期解決を第一としているといえますから、派遣会社にとってもメリットはある存在といえます。解決 イコール 金銭の授受による労働債権の一切の消滅 となるのが通常ですから、その金額が早期に妥当な水準で決まることは派遣会社にとって有益だといえます。

厚生労働省のHP【個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)】の事例紹介で、有期雇用契約での解雇についての金銭解決事例が1件だけですが記載されています。契約期間途中の解雇の方が雇止め以上に会社側の責任が問われることは明白ですので、一つの事例として参考になるとは思われます。1カ月半の有期契約の途中解除での解決金として10万円と記されています。

 

 

 

もちろん、これは短期雇用を前提としていることも踏まえた結果ではあるでしょう。実際のADR利用例では、もっと低い金額での紛争解決もありますし、逆に数十万円となることもあります。会社との関係性にも拠るでしょうが、争うというよりは客観的な第3者(あっせん委員。労働局ではなく、民間より登用。)のもと、より現実的な和解金額に着地できる、有効な場とも言えます。

統計としては2012年と少し古いものなりますが、独立行政法人 労働政策研究・研修機構のHP(労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析 平成27年)も参考になります。あっせんによる解決金は、平均は156,400円という結果もでています。月収の1~2ヶ月ほどの解決金で7割以上が解決しているようです。裁判等にかかる費用を考えると、会社としても解決の選択肢として魅力的だといえるでしょう。解決に要する月数も2ヶ月程です。

あっせんが増えること自体は、会社にとってもデメリットばかりとは言えないでしょう。

なお、2020年4月からの派遣スタッフの同一労働・同一賃金(労使協定方式の運用)については、ADRによる派遣労働者待遇調停会議の利用ができるようになっており、派遣会社としても無視できないものとなっています。

 

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