2018年4月1日より労働者派遣事業関係業務取扱要領が改定されています
労働者派遣事業関係業務取扱要領が4月1日より、また改定
2018年1月に改定があったばかりの取扱要領ですが、4月1日より文言の改定がなされています。要領が改定されるペースも最近は早くなってきている感があります。
ちなみに2017年の改定は1月、5月、10月でした。今年は9月29日の旧特定派遣業の方が一般派遣業に切り替える期限の年ということもあり、10月になると一般派遣事業者のみを想定した(つまり、一定規模の事業者だけになった前提での)改定もなされることでしょう。
派遣『先』責任者講習の受講について改定
今回の目立つ改正点としては、派遣先責任者講習の受講について記載事項が変更されています。先ずは改定前(2018年1月発表の要領)を確認してみましょう。
(5)派遣先責任者講習の受講
派遣先は、選任した派遣先責任者について、派遣就業に関する労働者派遣法や労働基準法等の趣旨、派遣先責任者の職務、必要な事務手続等に関する適切な知識を取得できるよう、当分の間、厚
生労働省がモデル事業として実施する「派遣先責任者講習」を受講させることが望ましい。
なお、派遣先責任者講習は、モデル事業終了後は、職業安定局長に講習の開催に係る申出を行い、一定の要件を満たすと確認された者が実施することとする予定であること。
3月までの派遣先責任者講習は、実は厚生労働省のモデル事業として試験的に行われていたものです。このモデル事業で得た結果を基に厚生労働省は、2018年3月30日に『派遣先責任者講習の実施に関するガイドライン』を制定しました。
今後は、ガイドラインに沿った講習を実施できる会社にのみ講習を委託することになります。(この記事の投稿時点では、まだ委託先は選定中です)そのため、下記の記載に改定されました。
(改定後)
(5)派遣先責任者講習の受講
派遣先は、選任した派遣先責任者について、派遣就業に関する労働者派遣法や労働基準法等の趣旨、派遣先責任者の職務、必要な事務手続等に関する適切な知識を取得できるよう、派遣先責任者
を新たに選任したとき、労働関係法令の改正が行われたとき等の機会を捉え、「派遣先責任者講習」を受講させることが望ましい。
派遣先会社としては、派遣先責任者講習の受講における内容がはっきりし、委託先に関わらず均質化されやすくはなります。最低5時間の講習を受けることになります。もちろん現時点では義務ではなく、そうしてほしい(受講が望ましい)という厚生労働省からの要請に過ぎませんが、いずれは義務化されていくのだと思われます。
我が国の大きな方針として正規雇用が前提である社会を目指しているわけで、そのなかで特例としての派遣雇用者を受け入れる会社は、特例を享受する代わりに、一定のコンプライアンス遵守を求めていくことになっていくことは容易に推定できます。
派遣元としても、派遣先の派遣法に関する知識レベルが向上する前提で派遣元責任者を始めとする社内担当者の見識を深めていくことが、ますます必要となっていくことでしょう。
(参考)
労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年4月1日以降)
改正概要はこちらです。派遣法の適用除外業務に介護医療院が追加されていますが、全体として大きな影響はない改定です。