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令和3年の派遣法改正について

投稿日: 2020-09-20 |
最終更新日: 2020-09-20 |

派遣法改正

2020年9月18日、労働政策審議会における「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」等について(諮問)」が公開されました。

2021年(令和3年)からの派遣法の改正について、派遣法施行規則の改正案(省令案)を知ることができます。令和3年1月1日より施行となる項目と、同年4月1日施行の項目の2つに分かれています。

言い換えれば、令和2年12月31日までに準備が必要な項目があるわけで、派遣会社はその対応が必要になります。法令については令和2年10月上旬には公布され、正式なものとなります。待ったなしと考えて良いでしょう。

 

令和3年1月1日施行の改正項目

とはいえ、改正前(令和2年)の運用を大きく変えるものではありません。現行の派遣法に沿った運用を「適切に」実施している派遣会社については運用が大きく変わるわけではありません。曖昧な点の明確化を行ったといえます。②については、契約関係の書類でも押印そのものを求めないデジタル文書の対応を認めていく流れではありますが、デジタル文書への対応を義務としているわけではありません。

派遣会社としては、①のキャリアコンサルティングおよび教育訓練計画の内容について、派遣スタッフの採用時(労働契約の締結日前)に説明が求められるため、今後の労働局による定期指導への対応も踏まえると、内容そのものの変更が必要なくとも、実務的には説明するための内部書類の作成が必要になることでしょう。説明が書面によることが必須とされるかどうかは、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の改正内容を待つことになります。

 

No 施行項目 実施する内容
派遣労働者の雇入れ時の説明の義務付け 派遣元事業主に対し、派遣元事業主が実施する教育訓練及び、希望者に対して実施するキャリアコンサルティングの内容について、派遣労働者に対する雇入れ時教育訓練計画の説明を義務付ける。計画の変更時も同様。

これに合わせて「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」も記載内容が変わります。

派遣契約書の電磁的記録も認める 派遣元管理台帳、派遣先管理台帳は従来より電磁的記録(パソコン内のフォルダ保存)が認められています。

それと同様に、現状は書面による締結のみであった派遣先との派遣契約に関する書類も電磁的記録を認める

派遣先における、派遣労働者からの苦情の処理について 派遣スタッフの労働法令(メインは、労働基準法・労働安全衛生法・育児休業・介護休業)に関する義務について、派遣スタッフから派遣先に苦情があった場合でも派遣先も主体的に対応する義務を設ける。

「派遣先が講ずべき措置に関する指針」も記載内容が変わります。

日雇派遣での解除にも、休業手当の支払を厳格化 日雇派遣において、労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合について、必要な雇用管理が適切に行われるようにするため、派遣元事業主は、新たな就業機会の確保ができない場合であっても、休業等により雇用の維持を図るとともに、休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすべきことを明確化

 

令和3年4月1日施行の改正項目

下記2項目については、①については、いわゆる登録型派遣(無期雇用スタッフの派遣以外の派遣)の派遣会社については対応が必要となります。雇用安定措置4項目のいずれを希望するかを派遣スタッフに直接確認

することが求められ、実際には4項目のいずれを選ぶかのチェック形式での確認書の作成が必須となるでしょう。

 

No 施行項目 実施する内容
雇用安定措置について派遣スタッフの希望を聴く 派遣元事業主は、雇用安定措置を講ずるに当たっては、派遣労働者の希望する措置の内容を聴取しなければならないこととする。

その聴取結果を派遣元管理台帳に記載しなければならないことになります。

マージン率等のインターネットによる開示の原則化 派遣法第 23 条第5項の規定により、派遣元事業主による情報提供の義務がある全ての情報についてインターネットの利用その他の適切な方法により情報提供が原則とします(2020年9月18日現在ではインターネットに限定するという記載ではありません)

 

 

念のためですが、⑤の雇用安定措置4項目は、下記となります。項目そのものの改正はありません。派遣元は、同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある派遣スタッフに対し、措置を講じる義務があります。(1年以上3年未満の見込みのスタッフについては、努力義務。60歳以上の者は適用外です)

 

☑ A 派遣先への直接雇用の依頼
☑ B 新たな派遣先の提供
☑ C 派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
☑ D その他安定した雇用の継続を図るための措置(※雇用を維持したままの教育訓練・紹介予定派遣等)

 

なお、現行でのAを原則としたうえで、その実施が難しい場合はB~Dを検討するというルールそのものに改正はないようです。つまり、派遣先での直接雇用を国としては実現させたい一方で、派遣スタッフがA以外を事前に希望しているなら、それを優先させて良いという運用を明文化するのだと思われます。

 

⑥については、インターネットによる開示をより推進していく流れです。ちなみに派遣法23条第5項の項目は下記となります。

 

・労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数
・労働者派遣の役務の提供を受けた者の数
・派遣料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を、派遣料金の額の平均額で除して得た割合(マージン率)
・教育訓練に関する事項その他当該労働者派遣事業の業務に関し、あらかじめ関係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働省令で定める事項

 

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