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登録型派遣での労使協定方式

投稿日: 2019-10-13 |
最終更新日: 2019-10-13 |

派遣法改正

正社員雇用型と登録型で賃金水準は違うが、派遣法の適用は同じ

派遣会社には、登録型派遣の会社と、正社員型派遣の会社の2パターンがあります。

一口に派遣スタッフといっても雇用の体系により、賃金・福利厚生のルールは全く違います。通常は、下記のような待遇差があるでしょう。

 

雇用形態 基本給 手当 通勤手当 賞与 退職金制度
登録型派遣(有期雇用) 時給 原則なし 時給に含むことが多い 無い 無い
無期雇用派遣 時給 原則なし 時給に含むことが多い 無い 無い
正社員型派遣 月給 家族手当・役職手当等あり 別途、支給 あり あり

 

正確には、登録型派遣と正社員型派遣の間に、無期雇用ではあるが時給のスタイルもあるでしょう。また、もっと細分化すれば有期雇用の契約社員(月給)もあります。派遣スタッフと言っても、その雇用形態・処遇は一括りにできません。ただし、今回の派遣法改正による処遇の改善(いわゆる派遣先均等・均衡方式または労使協定方式)は、どの雇用形態であっても、実施する必要があります。

派遣スタッフである以上は、月給・賞与・退職金・福利厚生といった賃金等の改善を2020年4月1日までに検討することが必須となります(結果として現状維持でOKなケースもあります)。

正社員型派遣の会社は、更に請負(委託)による業務も併設していることも多いでしょう。しかも、請負業務と派遣業務でスタッフが、年の途中で異動することも珍しくありません。問題は、当初は請負業務に携わるスタッフとして雇用条件を通知していても、派遣スタッフに変更となる場合は派遣法の影響を受けるため、賃金水準に問題がないかを派遣法の定める水準で見直す必要は出てくることです。

とはいえ、正社員である以上、業務内容(職種)や責任が変わらないのに派遣と請負という会社側の都合で賃金が変動することは望ましくありません。賃金が上昇する場合にはスタッフからの苦情はまず出ないでしょうが、勤務スタイルが変わる(請負→派遣)からといって業務も責任も大きく変わらないなかで適用する法律が違うから賃金を変更(減額)というのは通用しないでしょうし、それでは退職するということになりかねません。そもそも労働契約法における不利益変更にも該当します。

正社員雇用の場合は、派遣法の定める処遇を最低ベースとしたうえで、自社の賃金テーブルを作るということになります。実際、正社員雇用型の派遣会社は、技術者等の特別なスキルを持つ方を中心としていることもあり、自社での評価制度が確立しているケースが多いので、労使協定方式を前提に、賃金テーブルの下限を毎年7月頃(局長通知が公表される頃)にチェックするということが通例となるはずですし、派遣先が変わるごとに賃金が変動するリスクがある派遣先均等・均衡方式を使うことは、正社員型派遣では通常ありえないでしょう。

登録型派遣で労使協定方式を使う場合の基本スタイルを知ろう

時給で給与支給しているスタッフについては、現状の時給が労使協定方式の水準を上回っているか否かがポイントとなります。具体的には下記となります。

登録型のスタッフでは、時給に交通費を込みにしているケースが多いと思われますが、別途負担しているケースは、下記となります。②を除外します。

現在の時給では、いずれのケースでもクリアできない場合は、A.時給を引き上げる。若しくは③を選択せずに、B.退職金制度(退職したときのみ退職金を払う)を導入、のいずれかを選択となります。

それでも難しいときは、時給の引上げしかありません。場合によっては派遣先への単価交渉も必要となるでしょう。もしくは派遣法の適用を受けないために、請負業務オンリーの会社となるしかありません(ここは、偽装請負となってしまうと派遣先にも影響が及びます。派遣法違反となるため、派遣先への直接雇用が求められます。)。

登録型派遣の会社においては、現実にはBを選択するケースが増えると推測されます。理由は、労使協定方式による退職金制度導入においては、労使協定に退職金制度導入の起算日(具体的には2020年4月1日を起算日とする)を設けることで起算日から3年間は退職金を支給しないことが可能となるためです。平均勤続年数が3年未満のスタッフが圧倒的に多い場合は、迷わず退職金制度導入を選択した方が良いでしょう。

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