退職した派遣スタッフのマイナンバーは即時に情報削除をしないといけないのか?
マイナンバー制度においては、特定個人情報(従業員の個人番号)について、行政機関等に個人番号を記載した書面を提出するために必要な場合以外は保管してはならないことになっています。つまり、社会保険や雇用保険の手続きを今後する必要のない退職してしまった社員の個人番号は、すぐに削除することになります。
ただし、特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)には、下記の記載がされています。
それらの事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した場合には、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければならない。なお、その個人番号部分を復元できない程度にマスキング又は削除した上で保管を継続することは可能である。
つまり、所得税法などの他の法令で定める保存期間は、マイナンバー制度の影響を受けるものではありません、そのため、税務や労務の書類に個人番号を記す場合は、税務・労務の法令の書類保存期間中はマイナンバーを削除する必要はないわけです。
基本的には、資料の保存期間は税法>労働法令 となっているので税法の資料保存期間=個人番号の保存期間と考えても差し支えないでしょう。
ちなみに、マイナンバーの記載が求められている、『給与所得者の扶養控除等申告書等』の保存期限は、下記のとおり7年となっています。所得税法施行規則76条の3に定められています。
(概要)
給与所得者の扶養控除等申告書等の提出を受けた源泉徴収義務者は、その申告書等を7年間保存しなければなりません。
(保存期間)
その申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存する必要があります。
(源泉徴収義務者が保存する申告書)
(1) 給与所得者の扶養控除等申告書
(2) 従たる給与についての扶養控除等申告書
(3) 給与所得者の配偶者特別控除申告書
(4) 給与所得者の保険料控除申告書
(5) 退職所得の受給に関する申告書
(6) 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
(7) 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
源泉徴収票の保存期限も同じく通常7年です。これは国税通則法70条に偽りその他不正の行為がある場合は7年遡及できる記載があることと、と74条の2に、質問検査権(要は税務調査ですね)を行使される相手として、源泉徴収票を提出する義務のある者が規定されているからです。下記に抜粋して引用します。
(国税通則法70条)
4 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税についての更正決定等又は偽りその他不正の行為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額についての更正(前2項の規定の適用を受ける法人税に係る純損失等の金額に係るものを除く。) は、第1項又は前項の規定にかかわらず、第1項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、当該各号に定める期限又は日から7年を経過する日まで、することができる。
(国税通則法74条の2)
国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の当該職員は、所得税、法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
◆1 所得税に関する調査 次に掲げる者
ロ 所得税法第225条第1項 (支払調書) に規定する調書、同法第226条第1項 から第3項 まで(源泉徴収票) に規定する源泉徴収票を提出する義務がある者
7年経過後に扶養控除等申告書を残しておく場合は、マイナンバーの記載部分をマスキングするなど、マイナンバーの判別ができないようにする必要がでてきますのでご注意ください。なお、派遣先にマイナンバーの提出をする義務はありません(むしろ、提出してはいけません)。稀に誤解をされている方もいますので改めて記しておきますね。