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退職することが決まった社員から有給休暇を申請された

投稿日: 2015-07-23 |
最終更新日: 2015-07-23 |

気になる労働基準法

退職することが決まった社員から有給休暇を申請された

例えば、1月1日に社員から『1月31日をもって退職します』との退職願があった。たった1ヶ月では引継ぎもできないよ・・・本当に困った社員だと思ったら次に

『有給休暇が20日残ってますので、1月12日~31日までは有給休暇を消化します。』

 

と申請された。要は1月11日で事実上、退社することと変わりはないわけで11日しか業務をしてくれないことになります。この社員が非常識かどうかはさておき、このようなケースを実務的にどう処理するかは悩ましいところです。労働基準法39条5項では、下記の記載があります。

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる

原則、社員が休みたいときに有給休暇を与えなさい。だけど事業の運営ができないときは別の日にしても良いよという記載ですが、この『事業の正常な運営を妨げる場合』とは、どういう状況を示すのかが気になりますよね?

事業の正常な運営を妨げる場合とは?

昭和23.7.27 基収2622号には下記の記載があります。ちなみに基収とは、労働基準局長が疑義に答えて発する通達です。

(問)事業の正常な運営を保持するために必要があるときは労働者の意に反する場合においても年次有給休暇を与える時季の変更ができるか、また年度を超えて変更することもできるか?
(答)見解の通りであるが、事業の正常な運営を妨げる場合とは、個別的、具体的、客観的に判断されるべきものであると共に、事由消滅後能う限り速やかに休暇を与えなければならない。

・・・全く答えになってないですね(苦笑)。個別的、具体的、客観的に判断というのは、どういうことを示すのか例示がありません。

では、判例での例示を見ると、平成4年6月23日裁決(【事件番号】平成1年(オ)第399号)の、いわゆる時事通信社事件というものがヒントになります。こちらからも要旨を確認できますが、ポイントとして『労働者が、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を経ることなく、始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、時季変更権の行使において、休暇の時期、期間の修正、変更に関し、使用者にある程度の裁量的判断が認められる』との記載があります。

長い休暇を取るときは、せめて会社に迷惑かけないように、会社と事前相談して、他の代替できる社員が勤務しているときにすべき、そうでないと業務に支障がでるから、そのときは休む時期を変更することもやむを得ないという判断です。また、この判例では専門性が高い社員(科学技術に関するある程度の専門的知識を要する通信社の社会部記者)ということもあり、代替することが困難な職種だということも挙げられています。

ただ、冒頭の事例に照らすと、専門職が高いわけでもなく、他の社員が勤務可能であれば、有給休暇そのものを否定することは難しいといえます。ましてや退職により退職日以後は、有給休暇付与日(休む権利)も全て消滅してしまいますし、そもそも退職日以後の時季変更もできないです。

では、どうすれば良いか?

現実的な対応としては、退職日まで勤務してもらう必要性を理解してもらい、有給休暇の申請を自主的に取り下げてもらったうえで、退職日以後に消滅する有給休暇付与日について買取るという方法が考えられます。どうしても引継ぎが必要だと考えるのであれば、この方法以外は難しいと思われます。なお、退職日前の有給休暇の買取は禁止されています(昭和30.11.30 基収4718号が根拠となります)が、退職日後の消滅する有給休暇については買取は可能です。なお、この退職日後の買取については、いくらで買取るかについては定めはありません。そもそも消滅した労働債権をいくらで買取るかは任意でよいわけです。

私見ですが、冒頭のような突然の退職をされることに備え、社内業務のマニュアル化・標準化を進めることはますます重要になってきていると感じています。そして社員と会社との関係性を良好なものにすることの重要性を再認識する必要があるでしょう。

突然の退職には、それなりの理由があることも否定できません。

 

 

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